2012年6月10日日曜日

いざ北斎展! ~その弐~


先日の休みに、北斎展の後期の展示を見に行って参りました。

北斎展 後期:5/15-6/17
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/schedule.html


今回も前期に引き続き、印象に残った絵をアップしておきましょう。

見ていった順番に


「江都駿河町三井見世略図」↓




凧が舞っているということは、正月なのでしょうか。清冽な張りつめた空気の中にも風を感じます。

凧のひとつは鳥のような形をしています。青を基調とした中でこの凧が唯一赤で、北斎のいたずら心を感じます。

横の富士山と同じ形をした屋根の上では作業をしている人たちがいて、なんともユーモラスです。

富士を主体とした美しい風景と、人の動き、人工物が調和していて、北斎らしさを感じた作品でした。



「山下白雨」 (さんかはくう)↓





こちらの作品は一つの目玉として展示されていましたが、いまいちピンときませんでした。

右下の鋭い線は、カミナリを表しているそうです。快晴の山頂と下界の雷雨を対比させて描いたものだそうです。



「甲州石班澤」(こうしゅうかじかざわ)↓




この作品は有名で、みたことがありましたが、実物を見るとその迫力は段違いでした。

富士はゆるやかな曲線で描かれているのに対し、下の崖や波は荒々しいく描かれています。

そんななか、一人の漁師が網を引いているのです。崖と人と網の紐が富士山の形と相似形をなしています。

この青一色で描かれた世界には引き込まれるものがありました。

何がそんなに人を引き付けるんだろうか?

と、この絵を前にだいぶ思案したのですが、構図がいいのはもちろんあるのですが、

雄大で荒々しい自然を相手に、ひとり人が生きるために奮闘している姿に、

その生きる迫力みたいなもの伝わってくるのかな、などと思いました。




さてその近くにあった絵で気に行ったのがコチラ↓


「飛越の堺つりはし」↓




このシリーズには、実際にある橋やどこにあるのか特定できない、おそらく想像で描いたものもあるそうです。

私はこのつり橋のマンガチックなたわみ具合、そして背景の雄大な景色がいいなぁ~と感じました。

見ていると物語が湧き上がってくる気がします。これはまさにマンガの原点だな、と感じました。


前回も橋シリーズとして似たような絵がありました。

「足利行道山くものかけはし」↓




こちらもマンガチック、で見てて面白い絵でした。


他の橋シリーズとして気に入ったものは、


「すほうの国きんたいはし」↓




山口の岩国にある錦帯橋です。後ろにあんな富士山のような山が実際あるんでしょうか?
構図が美しいな、と感じました。


もうひとつ、橋シリーズとして印象に残ったのは、

「かうつけ佐野ふなはしの古」↓




船橋という地名がありますが、これは本当に船をこのようにして橋のようにつないだことから来ているんだろうな、

とこの絵をみて理解しました。(実際はどうか知りませんが)


橋シリーズの次に、百人一首を描いたコーナーがありました。

本来ならば、百枚あるべきなのでしょうが、

北斎が百人一首の歌に対して、あまりに独自の解釈で絵を描いたため途中で中止になったのだそうです。

私はその解説を読んで思わず笑ってしまいました。

その中でいいなぁ~と感じたのは、

「天智天皇」↓




秋の稲の刈入れの様子です。いかにも秋らしく、ほのぼのとした気分になります。


もう一つよかったのが、

「山邊の赤人」↓



田子の浦にうち出でてみれば白妙のふじのたかねに雪はふりつつ

この歌を絵にしたものです。

北斎の海の波というと、荒々しいものを想像しますが、

夕焼けの富士を背景に、この丸い穏やかな波もまたいいなぁ~と感じました。



百人一首の中で、一緒にいった友人イチオシの作品がコチラ

「権中納言定家」↓


私は特に印象に残らなかったのですが、

よく見ると、構図とか、人の動きなどが面白いです。

これは海水をやいて塩を作っている場面だそうです。



今回も瀧シリーズがあったのですが、印象に残ったものをひとつあげるならコチラ、


「下野黒髪山きりふりの滝」↓





樹の根っこのようにうねる水の筋が生命感にあふれていて、

題名のようにみているこちらまで水のしぶきが飛んできそうな圧倒的な迫力がありました。



以上が今回印象に残った絵でしたが、、、

HPにアップするにあたって北斎の画像を検索をしていたら、またまたスゴイ絵に遭遇してしまいました↓





「鳳凰図屏風」


どうやら、これは下の屏風の一部のようです↓








北斎は猛禽類を描くのが得意だったそうで、

試しに北斎、鳳凰で検索してみたら、他にも鳳凰図がいくつか出てきました。
















構図の大胆さ、色使いの美しさ、細部の緻密さ

北斎はやはり天才だな、と感じました。


今回も美術館のはしごをして、この後ブリジストン美術館を見てきたのですが、

西洋美術を見て、北斎のデザインの洗練された美しさがより一層際立って感じられました。


また印象に残る展覧会などにいったら、画像をアップしたいと思います。


おしまーい


参考:

北斎展 後期:5/15-6/17
http://www.mitsui-museum.jp/exhibition/schedule.html

ブリヂストン美術館:あなたに見せたい絵があります。
http://www.bridgestone-museum.gr.jp/


彦兵衛のブログ:いざ北斎展へ!http://mshiko.blogspot.jp/2012/05/blog-post.html




0 件のコメント: