2021年3月28日日曜日

吉田博展を観に行ってきました~、、 その弐


引き続き、吉田博展です。


第二章 奇跡の1926年

と題されたシリーズは秀逸な作品のオンパレードでした。



劔山の朝  1926年


赤のグラデーションが素晴らしい。。


山の明け方の神々しい空気感をよく表しています。






 穂高山 1926年

手前は大正池でしょうか、明神池でしょうか

上高地から見たものと思われます。

日本アルプスって、いいますが、

本当に上高地からの景色はここはヨーロッパか!

と思ってしまうほどの、日本離れした息を飲む美しさで、

その雰囲気をよく表していると感じました。



黒部川 1926年


水の流れと、奥の新緑が良かったです。

見ているだけで、その場にいて水の流れが聞こえてきそうな気がしました。




光る海 1926年


こちらは、下の猿澤池とともに、

ダイアナ妃が執務室に飾っていたことで有名な絵です。

紙なのに、キラキラ光っているように見えて、

手描きでも難しいと思われる表現を

よく木版画でここまで表現できるなぁ~、、、

と感心ひとしきりです。




猿澤池 1933年





↑こちらの後ろの絵ですね。






渓流 1928年


こちらは、吉田博が、奥歯を擦り減らしながら自ら彫ったという木版です。


確かにもの凄い緻密さなのですが、あまりにも凄まじく、

怨念、執念のようなものを感じました。


        

吉田氏は、富士山もたくさん描いています。





御来光 富士拾景 1928年






 冨士拾景 朝日 1926年


富士山が霞がかっている感じとか素晴らしいです。







鈴川 1935年


私は、富士山を描いたものでは、これが一番好きでした。

富士山のもつ清々しさ、神聖さをよく表しているように感じました。




吉田氏は、浮世絵師のように東京の絵も何点も描いています。




隅田川 東京拾二題 1926年


光る海にも通ずる水面の輝きが良かったです。



他、日本各地の絵です↓






温泉岳 1927年


潮が引いた一瞬の時なのでしょうか、

構図がユニークで面白いです。



    




大原海岸 1928年

こちらも、水面がギンギラに輝いていました。

実際にこんな景色をみたら、あまりの眩さに目を細めてしまうのでしょうが、

こちらの絵もみていると、つい目を細めてとまう感覚に捕らわれました。

紙なのに、宝石のように輝いていました。。



白石島  瀬戸内海集 第二 1930年


のんびりした雰囲気、海のグラデーションが良かったです。




潮待ち  瀬戸内海集 第二 1930年


海の凪いだ、昼のひと時、といったところでしょうか。

ゆったりとした雰囲気が伝わってきます。



吉田氏は、インドや中国、朝鮮などにも行って絵を描いています。





タジマハルの朝霧 1932年


インドの朝の感じがよく表れていると感じました。





石鐘山 1940年


私は中国を描いた一連の作品の中で、

この江の島を描いたような絵が気に入りました。

中国だと、なんとなく水墨画っぽくなっています。


彼は、従軍画家として、アジアにいっていたようなのですがね

展示の中には、軍用機を描いた下絵もありましたが、

その緻密な描写力には舌を巻くものがありました。

もう本当に絵が好きで、気になったものは何でも描きとめておくという感じでした。

画狂というのか、画聖というのでしょうか(笑)、

もう描くのがすきでたまらなかったんだろうな、、

というのを感じました。






鼠ヶ関辨天島 1939年


下に水たまりがあって、

そこに鳥居が写っている構図を描くという点が、素晴らしいです。




深林之宮 1940年

こういう小さな風景にも心を寄せて描いている所、

やっぱ日本人だなァ~、、と感じました。







東照宮 1937年


日本建築のような細かいものを、

よく版画にして描こうなどと思うよな、、。





陽明門 1937年








亀井戸 1927年


こちらは、江戸時代の浮世絵師の絵のようで、よかったです。

こちらは、企画展の売店のほかに、1階の美術館の売店にA5サイズのポスターが売られていて、

そちらの発色がよかったので、そちらを買いました。

ただし、1枚1000円もしてしまいました。。




以上、一通り、良かったものを挙げましたが、

もう素晴らしい、の一言に尽きます。

ため息のしっぱなしで、本当に見ごたえのある展示でした。



美術館を出ると、昼を過ぎていたので、






桜を見つつ、いったん外に出て、昼食を買い、

不忍池の方へ向かいました。

























一部の桜が、キレイに咲き誇っていました。



まずは弁天さんにご挨拶。。















本堂の横手に廻り、








不忍池を見ながら、お昼を食べることにしました。
















あー、水面が輝いているなぁ~、、

吉田博はこんなのみたら、すぐにスケッチブックに描いておくんだろうなぁ~、、

などと夢想しながら暖かい春の日差しのもと、至福感につつまれ、

お昼ごはんをもぐもぐと食べていました。



天気が良かったので、腹ごなしに少し散歩して帰ることにしました。






先ほどの桜。。








公園の方に戻り、この円を描く松をパチリ。








上に行き、









円の中からもパチリ。
















公園の中の満開の桜をいくつか見て、上野公園を後にしました。


あ、そうだ、この日は、そのまま帰ったのではなく、

新小岩の金魚の吉田と、一之江の佐々木養魚の金魚屋2店を巡って帰ったんでした。

すんばらしい金魚がいたので、数匹買ってしまいました。

う~ん、よく考えたら、午前に使ったお金を遥かに超えてるなぁ~、、(笑)。


金魚ちゃんたちは、目をクリクリ、ひれをパタパタさせて、いまでも水槽で元気に泳いでいま~す。


はい、これで、上野でやっていた吉田博展はおしまいです。



<(_ _)>


















 

2021年3月21日日曜日

吉田博展を観に行ってきました~、、 その壱

 

3月のある晴れた平日に、

是非、行きたいと思っていた

吉田博展

を観に上野まで行って参りましたー!




東京都美術館:吉田博展 2021126()328()




上野は桜がぼちぼち咲いていました。



















↑こちらの並木はまだ開花前。







一部、満開近く咲いている桜の前で、

皆さん、写真を撮っていました。














咲いている桜をちらちら見たのち、

はやる気持ちを抑えつつ(笑)、

東京都美術館に向かいました。







平日の午前中だったので、まあまあすいていました。


吉田博氏の絵が、年代順に並べられていて、圧巻の展示となっていました。


印象に残った絵をあげていきましょう。






水彩画 上高地の夏 1915


これは初期の水彩画ですが、これを見るだけでも、

吉田博氏の山への愛、自然に対する畏敬の念が感じ取れます。


吉田氏は登山をこよなく愛していて、実際に山に登って何日も留まり、そこで絵を描いていたそうです。


美術館内で、吉田博を知るための動画が上映されていましたが、

その中で、黒田清輝氏との確執が取り上げられていて、

コミカルに説明がされていて、とても楽しめました。

吉田博氏は反骨精神の塊だったようですね。


上映されていた動画の中で、う~ん、と思ったのが、

彼は、自然の中で『仙骨』になって絵を描かなければいけない、

と述べていたことです。

仙骨とは、仙人の境地と解説されていました。

自然の中に分け入り、自然と一体となって、その境地を描くということでしょうか。

私は、彼の山の絵を見るたびに、

自分が山に登った時に感じる空気感や静寂をよく表現できているなぁ~、素晴らしいなぁ~、

と感心します。



また彼は、自然の中だけでなく、色々な国に出かけて絵をかいてます。


まずはアメリカシリーズから印象に残ったものを挙げると、








エル・キャピタン 1925年



面白い山ですね。

山肌のカラフルな色彩が良いです。

私は歌川広重の箱根を思い起こしました。








ナイヤガラ瀑布 1925年


これ、版画か、ヤバ過ぎるだろ、、。

まず色の多さ、特に他の絵でもそうですが、青の色彩の多様さが凄いです。

動画の解説によると、江戸時代の浮世絵で擦りは10回程だそうですが、

吉田氏の場合は、多い時は100回近かったそうです。
桁違い!

版画なのに、筆で描いたような、もわもわした水蒸気の感じとか、凄過ぎます。

これは、売店でA4のポスターを売っていたので買いましたー♪







レニヤ山 1925年

以前の展覧会で、A4版ポスターを購入し、今でも部屋に飾っています♪


こちらは、本物はもっとピンクが鮮やかで、見ているだけでウキウキしてくる絵です。

水面に映った山も素晴らしいです。



吉田博氏は、当時の画家がみなフランスに行くところ、

敢えてアメリカに渡り、自分の絵を売ったそうです。

相当に売れたそうで、小学校の初任給の10倍のお金を得たとのことです。



次は、欧州シリーズから、








ウェテホルン山 1925年


山の形が独特で日本でないことが分かります。

山肌の質感、グラデーション、手前の緑の鮮やかさ、

春でしょうか、生き生きとした感じ

景色全体から生命の躍動を感じます。

小さい描写ですが、氷河のグラデーションもヤバかったです。










マタホルン山 1925年


こちらは、前にブログでも紹介しました。

マッターホルンのとんがった感じと、手前の建物の尖塔が対比されていて、広重とか北斎の遊び心を思い起こします。


彦兵衛のブログ:



紹介したい絵が多すぎて、

残りは次回にしますねー、、。


<(_ _)>


つづく、、