2015年1月18日日曜日

自閉症者の心の世界 ~東田直樹さんの著書から~




年末から年始にかけて、

ある自閉症者の本

を読んでいました↓






著者は東田直樹さんという方です。

NHKなんかでも取り上げられてとても有名な方ですが、

本を読むのは初めてでした。


読んでみて感じたのが、

一般の人、いやそれ以上に鋭い視点をもっているということ、

そして、その文章力、表現の豊かさに驚嘆してしまいました。

凄いな、、、と。。。


以下に本の中から抜粋した文章をいくつか載せておきます。


刺すような視線↓


苦しくてたまらなくなると、空を見上げます。

目に飛び込んでくるのは、抜けるような青空と白い雲です。

見ている僕は一人ぼっちなのに、世界中の人と繋がっている気分になります。

自然はどんな時も人々に平等です。

そのことが僕の心を慰めてくれるのです。









挨拶↓


僕は上手に挨拶ができません。

(中略)

僕には、人が見えていないのです。

人も風景の一部となって、僕の目に飛び込んでくるからです。

山も木も建物も鳥も、すべてのものが一斉に僕に話しかけてくる感じなのです。

それらすべてを相手にすることは、もちろんできませんから、その時、

こころに関心のあるものに心を動かされます。






植物↓

頭をからっぽにしたとき、僕の目に映るものは、

まぶしいお日様と風にそよぐ木々たちです。

僕も草になったような錯覚に陥ります。

誰かが僕を呼ぶ声が聞こえます。

声のする方に振り返った時、

自分が人間だったことを思い出すのです。







空いっぱいの青↓

何度注意されても、なぜ自閉症者は、こだわり行動をやめないのでしょう。

僕が青空をみて泣けてくる気持ちは、

こだわり行動をしている時の気持ちに似ています。

せつなくて、寂しくて、どうしようもないくせに幸せなのです。






水が恋しい↓

水に執着する自閉症者は多いです。

(中略)

ふつうの人たちにはわかりづらいかもしれませんが、

水は僕たちにとって、故郷のような存在です。

水を見ているだけで、幸せな気持ちになります。

みんなが「好き」という感覚とは違い、心の奥から湧き出るような喜びを感じるのです。

つらいことも悲しいことも全て忘れ、幸福な気分にひたることができます。

水を触っていると「大丈夫だよ」という地球からのメッセージが聞こえてくる気がするのです。

(中略)

静寂で言葉も存在しない世界なら、自分も生きているだけで十分に幸せだと実感できます。

そこには、僕を縛るものは何もなく、時間さえ超越したかのような世界が広がっているからです。







魂↓

広い原っぱで、腕をぐるぐる回しながら、好きなだけ走り回っているとき、

僕は本当に幸せな気分にひたれます。

風と同化したように、身も心も軽くなります。

僕の魂は、肉体に閉じ込められているのではないかと思う時があります。

(中略)

ふと下界に目を向けると、ひとり騒がしい人間がいます。

困ったやつだとよく見ると、僕だと気づき、慌てて戻ってくるのです。









インタビューにて↓


歴史から学ぶことは多いです。

戦争や差別についてなど、人が繰り返し同じ過ちを犯すことに興味があります。

(中略)

人生にとって重要な学びはふたつあるのではないでしょうか。

ひとつ目は、勉強して、考える力を身につけること。

ふたつ目は、自分の幸せに気づくことです。

外から知識を吸収するだけでなく、

自分の内面を豊かにするのも大事なことだからです。







どうですか?

すごくないですか?

自閉症者でこれほど自分の内面を表現できるケース、

極めて異例です。


自閉症者は外見から見ると、

なんでそんなことするの??

と、つい思ってしまうのですが、

これほど豊饒な世界を生きていることを知って

驚嘆してしまいました。


これは、仏教などが理想とする

心の原初の境地、無分別の境地、悟りの境地

ともいえそうです。

本当の心の豊かさ、

人間にとっての幸せってなんなんだろう、

と考えさせられてしまいます。


私は東田さんの文章を読んで、

かつてブログで取り上げた

左脳を損傷した数学者テイラー博士の話を思い出していました。


彦兵衛のブログ:

選択のちから ~ ある脳科学者の涅槃体験 ~



選択のちから ~ ある脳科学者の涅槃体験 ~ ≪続≫




もしかすると、知能が高くなって分別がつくほど、

人は幸せを感じにくくなってしまうのかもしれないな、、

などと思いました。



私は、今回、この東田さんの本を読んで、

深く深く感動しました。

そして障害者と呼ばれている人たちがやっている

一見奇妙な行動に対して、

自分たちの一方的な見方、価値観を押し付けてはいけないんだな、、

と、これまた深く深く反省した次第です。



実は、この東田直樹さんの講演会が極めて近くであって、

参加できる機会があったのですが、

本で読めばいいや、、

と参加しなかったのです。。。

いかんなーー、、

なんとももったいない!!

こんなすごい人だと知っていたら、参加したのにぃぃ、、。

今になって悔やまれます。

今度機会があったら絶対に参加します!!



東田さんの最初の本は↓






というタイトルで、

これは、アメリカやヨーロッパのアマゾンの売り上げでトップだったそうです。

凄いですね。

でもわかる気がします。

実は私もこの本を最初に読もうと思ったのですが、

図書館で予約してみると、気の遠くなるような予約数だったので、

とりあえず予約数の少ない最新刊の方を、

リクエストして借りたのです。

最初の本も読んでみようと思ってます。


こういう人たちも、ちゃんと生き生きと生きていける社会であってほしいな、、

そういう社会をつくっていかなきゃな、、

と思った次第でありました。


おしまい












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