年末から年始にかけて、
ある自閉症者の本
を読んでいました↓
著者は東田直樹さんという方です。
NHKなんかでも取り上げられてとても有名な方ですが、
本を読むのは初めてでした。
読んでみて感じたのが、
一般の人、いやそれ以上に鋭い視点をもっているということ、
そして、その文章力、表現の豊かさに驚嘆してしまいました。
凄いな、、、と。。。
以下に本の中から抜粋した文章をいくつか載せておきます。
刺すような視線↓
苦しくてたまらなくなると、空を見上げます。
目に飛び込んでくるのは、抜けるような青空と白い雲です。
見ている僕は一人ぼっちなのに、世界中の人と繋がっている気分になります。
自然はどんな時も人々に平等です。
そのことが僕の心を慰めてくれるのです。
挨拶↓
僕は上手に挨拶ができません。
(中略)
僕には、人が見えていないのです。
人も風景の一部となって、僕の目に飛び込んでくるからです。
山も木も建物も鳥も、すべてのものが一斉に僕に話しかけてくる感じなのです。
それらすべてを相手にすることは、もちろんできませんから、その時、
こころに関心のあるものに心を動かされます。
植物↓
頭をからっぽにしたとき、僕の目に映るものは、
まぶしいお日様と風にそよぐ木々たちです。
僕も草になったような錯覚に陥ります。
誰かが僕を呼ぶ声が聞こえます。
声のする方に振り返った時、
自分が人間だったことを思い出すのです。
空いっぱいの青↓
何度注意されても、なぜ自閉症者は、こだわり行動をやめないのでしょう。
僕が青空をみて泣けてくる気持ちは、
こだわり行動をしている時の気持ちに似ています。
せつなくて、寂しくて、どうしようもないくせに幸せなのです。
水が恋しい↓
水に執着する自閉症者は多いです。
(中略)
ふつうの人たちにはわかりづらいかもしれませんが、
水は僕たちにとって、故郷のような存在です。
水を見ているだけで、幸せな気持ちになります。
みんなが「好き」という感覚とは違い、心の奥から湧き出るような喜びを感じるのです。
つらいことも悲しいことも全て忘れ、幸福な気分にひたることができます。
水を触っていると「大丈夫だよ」という地球からのメッセージが聞こえてくる気がするのです。
(中略)
静寂で言葉も存在しない世界なら、自分も生きているだけで十分に幸せだと実感できます。
そこには、僕を縛るものは何もなく、時間さえ超越したかのような世界が広がっているからです。
魂↓
広い原っぱで、腕をぐるぐる回しながら、好きなだけ走り回っているとき、
僕は本当に幸せな気分にひたれます。
風と同化したように、身も心も軽くなります。
僕の魂は、肉体に閉じ込められているのではないかと思う時があります。
(中略)
ふと下界に目を向けると、ひとり騒がしい人間がいます。
困ったやつだとよく見ると、僕だと気づき、慌てて戻ってくるのです。
インタビューにて↓
歴史から学ぶことは多いです。
戦争や差別についてなど、人が繰り返し同じ過ちを犯すことに興味があります。
(中略)
人生にとって重要な学びはふたつあるのではないでしょうか。
ひとつ目は、勉強して、考える力を身につけること。
ふたつ目は、自分の幸せに気づくことです。
外から知識を吸収するだけでなく、
自分の内面を豊かにするのも大事なことだからです。
どうですか?
すごくないですか?
自閉症者でこれほど自分の内面を表現できるケース、
極めて異例です。
自閉症者は外見から見ると、
なんでそんなことするの??
と、つい思ってしまうのですが、
これほど豊饒な世界を生きていることを知って
驚嘆してしまいました。
これは、仏教などが理想とする
心の原初の境地、無分別の境地、悟りの境地
ともいえそうです。
本当の心の豊かさ、
人間にとっての幸せってなんなんだろう、
と考えさせられてしまいます。
私は東田さんの文章を読んで、
かつてブログで取り上げた
左脳を損傷した数学者テイラー博士の話を思い出していました。
彦兵衛のブログ:
選択のちから ~ ある脳科学者の涅槃体験 ~
選択のちから ~ ある脳科学者の涅槃体験 ~ ≪続≫
もしかすると、知能が高くなって分別がつくほど、
人は幸せを感じにくくなってしまうのかもしれないな、、
などと思いました。
私は、今回、この東田さんの本を読んで、
深く深く感動しました。
そして障害者と呼ばれている人たちがやっている
一見奇妙な行動に対して、
自分たちの一方的な見方、価値観を押し付けてはいけないんだな、、
と、これまた深く深く反省した次第です。
実は、この東田直樹さんの講演会が極めて近くであって、
参加できる機会があったのですが、
本で読めばいいや、、
と参加しなかったのです。。。
いかんなーー、、
なんとももったいない!!
こんなすごい人だと知っていたら、参加したのにぃぃ、、。
今になって悔やまれます。
今度機会があったら絶対に参加します!!
東田さんの最初の本は↓
というタイトルで、
これは、アメリカやヨーロッパのアマゾンの売り上げでトップだったそうです。
凄いですね。
でもわかる気がします。
実は私もこの本を最初に読もうと思ったのですが、
図書館で予約してみると、気の遠くなるような予約数だったので、
とりあえず予約数の少ない最新刊の方を、
リクエストして借りたのです。
最初の本も読んでみようと思ってます。
こういう人たちも、ちゃんと生き生きと生きていける社会であってほしいな、、
そういう社会をつくっていかなきゃな、、
と思った次第でありました。
おしまい
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