2011年1月2日日曜日
楽しいことしかしない!
昨年の秋から、再びなんとなく気になって河合隼雄さんの本を何冊か読みました。
『こころの生態系-日本と日本人、再生の条件-』(講談社+α新書) 河合隼雄〔ほか著〕 日本総合研究所編 講談社
『無為の力-マイナスがプラスに変わる考え方-』 河合隼雄著 谷川浩司著 PHP研究所 2004
『吉本隆明「五つの対話」』 吉本隆明著 新潮社 1990
『なるほどの対話』 河合隼雄 吉本ばなな 新潮社 2005
『生きたことば、動くこころ』河合隼雄語録 河合 隼雄 河合 俊雄 (編集) 岩波書店 2010
この中で抜群に面白かったのがコチラ『無為の力』↓
対談でも概ね聞き役の河合さんが、
あとがきでご自身で触れられているように、いつにないほどしゃべってしまったというほど、
珍しくホント良く話しておられます。
しかも、その話しが、飾らず、軽快でとても生き生きとしていて、対談している楽しさが文面を通して伝わってきました。
その中でも、特に心に残ったのがこちら↓
面白いことは以外しない!
これは河合隼雄さんのモットーだったそうです。
私も興味があることはどんどんやっていこーー、というポリシーでいままでやって来た訳ですが、
面白いこと以外はしない!と言い切ってしまう所に、
いいなぁ~、かっこいいなぁ~、
と感じいってしまいました。
俺もこれで行こう!
ということで、今年の年賀状には、
楽しいことしかしません!
と書かせて頂いたのであります。
実は同じようなことを、対談相手である棋士の谷川さんも父親から言われてきたそうです↓
お父様は僧侶だったそうで、
人間は生きているだけで尊いことだから、好きな事をやりなさい
と常々言われてきたそうです。素晴らしいことであります。
またもう一つ、谷川さんの言葉の中でへぇ~、と思ったのがコチラ↓
将棋には、勝負師と芸術家と研究者の側面が必要で、
この三つをバランスよく持っている人が強いんじゃないか、
と言われています。
この表現はうまいなぁ~と感じました。
おそらく、どの分野に関してもこれは言えるんじゃないかと思います。
私も心の隅に置いておいて、
ちゃんと勝負しているか、やっていることが美しいか、ちゃんと研究しているか、
時に自分をチェックするのに使ってみたいと感じました。
この対談の中で面白かったのが、河合さんの執筆するときの様子が窺えたことでした。
イニシエーション(通過儀礼)の大切さ↓
河合さんほどのひとなら、椅子に座ったらもうぱーーっと、神がかったように文章を書いているのかと思っていたら、
爪をぱっちん、ぱっちん切ってからでないと始めらない、というのがとても人間らしくて微笑ましかったです。
考えが行き詰ったら寝る↓
学生との団交の前にも寝ておく↓
河合さんも、寝ることの効用を最大限に利用しておられたようです。
前に私が書いたような"虚"の時間を大切にしておられるたんだなぁと思いました。
本書は、『無為』が主題なのですが、
その説明の中で、クリシュナムルティの言葉
ものごとは努力によって解決しない
を引用されていたのには少し驚かされました。
やはり心理療法家ともなれば、ちゃんとこういう人の本も読んでいるんですね↓
『他力』について↓
ヒューマン・ビーングとヒューマン・ドゥーイングについて↓
あと意外だったのが、
河合さんは何かやるときに、最悪の結果というものをまず考えるのだそうです。
普通はポジティヴ思考で、良い結果を考えるというのが定石のような気がしていたのですが、
これを読んで、ナルホド、と思いました。
ポジティヴな面だけを意識的に想像しようとすると、
ネガティヴな面が影となって、意識されないまま力をもってとまうからではないのか、、
などと自分なりに推察してみました。
望みはないけど、光がある!?↓
リスクを取る勇気↓
谷川氏によるまえがき↓
私の中にはどうやら波があるようで、
河合さんの本を無性に読みたくなる時期がある一定の周期でくるようであります。
今回もその何回目かの波の一つだったようで、トータルすると、おそらく百冊近く読んでいると思います。
どうしてこんなに河合さんの本に惹かれるのだろうか、、、
その一つは、そこに普遍的なものが書かれているからだろうと思います。
しかもそれがユーモアを交えた極めて平易なことばで。
不思議な事に、河合さんが亡くなられてからも河合さんの新しい本がチョコチョコと出てるんですよね。
また河合隼雄さんに関する新しい発見があったら、ブログで紹介していこうと思ってます。
おーしまい
参考:
無為の力-マイナスがプラスに変わる考え方- 河合隼雄著 谷川浩司著 PHP研究所 2004
物を忘れることで豊かになる、嫉妬心には可能性がある、思考をやめた時に名案が浮かぶ…。不安な心を癒し、希望を灯す新しい生き方「何もしないこと」を提案。無為が力を生むという考え方を紹介する。
生きたことば、動くこころ――河合隼雄語録 河合 隼雄 河合 俊雄 (編集) 岩波書店 2010
多方面で活躍された河合隼雄氏(2007年逝去)の仕事の基本は、常に心理療法にあった。この「語録」は、京都大学の研究室におけるケースカンファレンスでの河合氏のコメント(1974-76年)をまとめたもので、同大を中心に長く受け継がれてきたものである。河合氏の思想に直に接することができる貴重な記録として、いま公刊する。(解説=岩宮恵子) 京都大学で読み継がれてきた貴重な記録、臨床の教え。事例検討会で語られた「生きている」ことばの数々。発見にみちたこの記録を、いま公刊する。
なるほどの対話 河合 隼雄 吉本 ばなな 新潮社 2005
「学校は自分をぐしゃぐしゃにした」という印象が強くあります。学校、つらかったですねえ…。河合:とにかく日本には、おせっかいが多い。それは、“創造する”作業にとって、ものすごくマイナスなんですよ。日本はクリエイティビティを表に出すのが、難しい社会です。―個性的な二人のホンネは、とてつもなく面白く、ふかい。対話の達人と言葉の名手が明かす生きるコツ。臨床心理学者と小説家。人の心のありようを見つめることを生業とする二人が、互いの仕事へのオマージュから、日本社会の現状と未来までを存分に語り合う。ユーモアと慈愛に包まれた、心にしみこむ対話集。
こころの生態系-日本と日本人、再生の条件-(講談社+α新書) 河合隼雄〔ほか著〕 日本総合研究所編 講談社 2000
こころは常に苦しんでいる 小林康夫著. 「他力系」宣言 中沢新一著. 日本人のこころが直面していること 河合隼雄ほか討議. カウンセリングとマネジメント 河合隼雄対談 田坂広志対談. 「知」の回路を切り換える 小林康夫対談 田坂広志対談. ほんとうの変化をつくるもの 中沢新一対談 田坂広志対談.
吉本隆明「五つの対話」 吉本隆明著 新潮社 1990
対話について 吉本隆明著. 身体と言語 養老孟司対談. 新共同訳「聖書」を読む 小川国夫対談. なぜ太宰治は死なないか 高橋源一郎対談. 『とりかへばや物語』の謎 河合隼雄対談. 一九九〇年代の文化 辻井喬対談.
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