先日近くのツタヤで旧作100円キャンペーンをやっていたので、
発掘良品 = 百人の映画通が選んだ面白い映画
のコーナーにあった
君のためなら千回でも
という作品を借りてみました。
この「発掘良品」のコーナーで借りる作品は、「これは!?」と思っても
なんだかイマイチ面白くなくて、いつも肩すかしをくらう感じだったのですが、
今回のこの映画は素晴らしかった。実に素晴らしかった!
久しぶりに映画らしい映画を観たという感じでした。
舞台はアフガニスタン。
ソ連侵攻前のアフガニスタンに生まれた育った少年が、様々な苦難、紆余曲折を経て
一度脱出した祖国の地を再び踏み、あるものを取り戻そうとするのですが、、、。
まず新鮮だったのが、アフガニスタン人の目線からみたアフガニスタンが描かれていることです。
私達のアフガニスタン情報というと、どうしても西側の視点、先進国の目線から流されてくる情報を
そのままアフガニスタンのイメージとして持ちがちですが、
この映画は原作者がアフガニスタン人だけあって、土のにおいがして、祖国に対する愛情を感じました。
またテーマがとても深い。
主人公の少年とその親友との関係、少年と父との関係、ソ連の侵攻やタリバン政権の行為、
これらがある意味すべてリンクしているのです。
つまり、舞台はアフガニスタンでありながら、
実は人間にとっての普遍的なテーマ、誰にとっても考えさせられるテーマがそこに描かれているのです。
アフガニスタンでドンパチやっていることは、私達にとっては対岸の火事のように感じますが、
実はあそこで行われていること、その底辺にあるテーマは、私達にとって極めて身近な事なのです。
それをひとことで言うと、
"我" = エゴ
の問題ではないかと私は感じました。
狭い"我"、偏狭な"我"が差別を生み、
そこから様々な問題が派生し、
最終的には平気で残虐な行為を行なわせるまでに人を駆り立てるのではないかという気がします。
私は映画を、
ストーリー、映像、キャスト(俳優)で評価するのですが。
まずこの映画、ストーリーは抜群!
また映像も、かつてソ連が侵攻してくる前の美しいアフガニスタンが再現されていたりして、
とても見ごたえがありました。
というのも、そのような場所を再現するために、わざわざ中国の新彊ウイグル自治区で撮影したそうで、
かつての美しいアフガニスタンを知るアフガニスタン人に、
まさに昔のアフガニスタンそのものだ
といわしめたそうです。
またキャスティングも、アフガニスタン語をしゃべる子供を使うために、
わざわざアフガニスタンの首都カブールでオーディションをして子供を集めたり、
出てくるアフガニスタン人役の人達が、みないい目、いい顔をしていたのがとても印象的でした。
主人公の大人になった役をやっているひと(ハリド・アブダラ)は、
映画「ユナイテッド93」、あの9.11をモデルにした映画でテロリスト役をやった人だそうで、
そういわれてみて私も思い出したのですが、
映像特典の中で監督が言っているように、
そこにただいるだけで存在感のある人物で、とてもハマり役だと感じました。
ハリウッド映画というと、なんだかアドレナリン系映画 = その場ではドキドキハラハラして楽しめる一方、
映画が終わってしまうと、何も残らない、むしろ「ああ終わってしまった」という空しさが残る、麻薬のような映画が多いように感じるのですが、、
この映画はそんな映画の趨勢にあって、スルメのように噛めば噛むほど味の出るような、硬派な映画でありました。
この映画を作った監督= マーク・フォースター氏の他の作品もゆくゆく観ていきたいなぁと思ってます。
興味のある方は、是非この映画、観てみてください。
オススメです。
おしまい
参考:
君のためなら千回でも:公式HP
http://eiga.com/official/kimisen/
君のためなら千回でも:ヤフー映画
http://info.movies.yahoo.co.jp/detail/tymv/id329420/
君のためなら千回でも [DVD]:アマゾン
ツタヤ:発掘良品
http://www.tsutaya.co.jp/movie/ms/t-hr/index.html?top=ms_07
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