先日のNHKスイッチインタビューで、米米CLUBの石井竜也さんと柳澤寿男さんという方が対談していました。
私は柳澤さんという方は知らなかったのですが、世界的な指揮者で、コソボの楽団で指揮をとっている方だそうです。
コソボというのは、ご存じのとおり、旧ユーゴスラビアで、民族の対立から内戦をしていたところです。
その内戦の終わった直後のコソボで、柳澤さんは、対立していた各民族から成るオーケストラを作り指揮をとっていたのだそうです。
対談の中のエピソードで、ある楽団員から、
もしこれから戦争になったら自分は楽器を置いて銃をとって戦いに行く
といわれたのだそうです。
その時、柳沢氏は何もいえなかったのだそうです。しかし時間がたったある時、その楽団員から、あのときはすまなかったと謝られたそうです。
それぞれの民族が一つの音楽を作って行く過程を通じて、銃より楽器の方が大事だと気付いたのだそうです。
柳澤さんが最初に、
いや銃をとってもなんの解決にもならないよ、、
などといっても恐らく本人には響かなかったが、
一緒に音楽を作って行く過程で音楽の力に気付いたのではないかということでした。
音楽は言葉を越えるという表現がありますが、まさに音楽が対立を越えて人をひとつにする力って凄いなぁと思いました。
それを内紛でつい数年前まで殺し合いをしていたコソボの地で実現してしまうというのは、まことにスゴイとしかいいようがありません。
柳澤さんは音楽を通じて平和が実現できればとおっしゃっていました。
ある時、川一つ隔てて一方はアルバニア系住民の地区、もう一方はセルビア系住民が住む地区があり、
つい数年前まで川を挟んで銃を打ち合っていた地区があるのですが、
その橋を渡った両方の地区で、柳沢さんのオーケストラが演奏を行ったのです。
しかしそれには条件があり、3日前までそれを発表しない(爆弾を事前に仕掛けられる恐れがあるから)、
チラシはどの言語が最初にきてもいけない、英語だったら英語だけでつくること、
演奏中は、建物の内外に警官や軍を警備にあてること、などなど諸々の制約がついたそうです。
そんな中、両方の地区での演奏は大成功におわり、民族融和のひとつの象徴になったのだそうです。
そんなエピソードが話されていたなかで、石井竜也氏が、
楽器って武器なんだよね、
と語っていたのが印象的でした。
作家にとってはペンが、画家にとっては筆が、そして音楽家にとっては楽器が武器なんだね、、と語っていました。
人への影響を考えると、本当に楽器は銃に相当するほどの力をもっているのかもしれない、、と感じました。
武器は、人を傷つけ、対立させることもできますが、逆に対立を終わらせ、人を結び付ける平和の手段に使うこともできます。これは楽器も同じなのかもしれません。
楽器を弾くということは、もしかしたらそれぐらいの覚悟をもって弾く必要があるのかもしれない、、と感じました。
私は柳沢さんという方は知らなかったのですが、世界の尊敬できる人物100人にも選ばれているということで、
今後の活動に注目していきたいと思います。
こちらの番組、再放送が次の金曜の深夜にあるので、興味のある方はぜひぜひ見てみて下さい。
ホント、とてもよかったです。
おしまい
↓ HPより解説
米米クラブのボーカルでありソロアーティストとしても活躍する石井竜也と、紛争地帯だったコソボで指揮者として活動している柳澤寿男がトーク。
激しい紛争が続いたコソボ。柳澤はここで、対立していた民族が共に演奏する「バルカン室内管弦楽団」を作り、国際的に評価されている。
そんな柳澤が大ファンで、心の支えとしていたのが、石井が作る音楽だった。
映像、美術、音楽を一つのエンターテインメントとして提供する石井の姿勢は、柳澤に大きな示唆を与えたという。また石井が積極的に行っている社会貢献に関して、そのあり方について意見を交わす。
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