最近、ああホント面白かったな~、読み応えあったなぁ~、、
と心の底から感じた本がありました。
それがこちら↓
内容↓(Amazonより)
第二次大戦末期、敵国の中国大陸の奥深くまで「密偵」として潜入した若者・西川一三。
敗戦後もラマ僧に扮したまま、幾度も死線をさまよいながらも、未知なる世界への歩みを止められなかった。
その果てしない旅と人生を、彼の著作と一年間の徹底的なインタビューをもとに描き出す。
著者史上最長にして、新たな「旅文学」の金字塔。
------------------------
私がこの本を知ったのは、クローズアップ現代で取り上げられたのを見てでした↓
2023年1月10日(火)
沢木耕太郎 自由を広げ、生きる
著者の沢木さんは、主人公の西川一三さんを実際に訪ね、何度もインタヴューを行っていたそうです。
こんな数奇な旅をした西川さんという方は、帰国後、化粧品の卸売業を営んでいたそうですが、正月以外の364日働き、毎日同じ日課で生活をしていたそうです。。
旅の内容もさることながら、なぜそんな生活をしていたのか、俄然興味を抱き、
私は本は普段、図書館で借りる派なのですが、リクエストしようとしたところ、待ち件数が150件と途方もない数だったので、新品を購入してしまいました。
ちびり、ちびり読んでいこうと思っていたのですが、この連休に入り、タガが外れてしまい、(笑)
え、この先どうなるの、、、と止まらなくなり、ある日、夜中まで一気に読破してしまいました。。
私の興味の一つは、西川氏がラマ僧に扮して旅を続けていたということで、
ラマ教(チベット密教)の修行を何かしらしたのではないか、或いは、しないにしても、ラマ教の高僧に出会うことで何がしかの感化を受けたのではないか、、
と予想していて、それが故の年364日の労働というところにもつながってくるのかと思っていました。
実際、読み勧めていくと、最初は内蒙古人のラマ教の巡礼者に偽装し、中国奥地に入り込み、西を目指し、ついにはラサに至るのですが、
ラサでは、あるお寺に入り1年ほどではありますが、実際にラマ僧としての修行を体験しています。
また旅の途中で、火葬場の近くにすむ、西川氏が“本物”と思う行者に出会い、弟子にしてもらって皆伝を授けられるくだりもあり、
やはり、彼の体験の中にラマ僧としての修行があったんだな、、ということを確かめることができました。
また同時に、旅の途中様々な人と出会うのですが、ラマ僧も色々で、チベット仏教の内実が垣間見れて、とても参考になりました。
人間臭いラマ僧がたくさん出てきて、人を騙したり、盗みをしたり、戒律を破ったり(これは当たり前のように行われていることのようでしたが、、)
あるラマ僧などは、お金を別のラマ僧に盗まれて、怒りすぎて精神に異常をきたし、病院入してしまう人などもいて、
あまり執着してはいけないんだな~、、などと別の意味で学ばせて頂いたりもしました。(笑)
印象に残ったことが多々あり、それを消化するのに、まだまだかかりそうな気がしていますが、
上に上げたエピソードの他に、印象深いことをいくつか挙げておきましょう。
何箇所かあるのですが、一つは、西川氏は密偵としてモンゴル人に扮して旅を続け、旅の中で出会う、モンゴル人、チベット人、漢人、インド人にも、彼が日本人であることがずっとバレずにいたのですが、
ある所で、ある外国人に一瞬で日本人であることが見抜かれてしまう場面がありました。
モンゴル人にもバレなかったのに、一瞬でよくわかったもんだな、、ととても感心するとともに、
やはり日本人として染み付いたもの、表情やしぐさ、態度などは、どこか残ってしまうものなのだと感じました。(この箇所は読んでいて、ホント度肝を抜かれました、、)
食に関しても、とても面白かったです。
旅の途中では、ツァンパという麦の粉を携行して食べているのですが、
現代の食事で、野菜だ、タンパク質だ、糖分がどうだと神経質になってるのが吹っ飛んでしまうほど、ひたすらツァンパを食べており、(笑)
まあ、おそらく、ツァンパを一生食べ続けていればあまり長生きはしないのかもしれませんが、
人間て、とにかく食べるものがあれば、生きていけるものなんだな、、ということをしみじみと再認識しました。
旅の中では、飢える寸前になり、家を訪ねて恵んでもらったり、
またインドでは、おコジキさん達の中で具合が悪くなって動けなくなったときは、そのおコジキさん達が恵んでもらったものを分けてくれたりと、心温まる場面もあったりしました。
あー、インドのおコジキさん達、私も多く見てきましたが、根はそういう人たちだったんだなぁ~、、と思いました。
著者の沢木さんによると、日本に帰ってからの西川氏の昼食は、いつもおにぎりとカップ麺だったとのことで、旅の中で常にツァンパを食べていたことと通ずるものがあるように感じました。
本編を通して一番感じたのは、人はお金がなくともなんとか生きていけるものなのだ、、
ということでした。
西川氏も途中から無一文になることもあるのですが、働いたり、また僧として托鉢をしたりなどして、なんとか食べて、生き延びていくのです。
西川氏の行動を見ていると、多くの人が、目に見えない恐怖に怯え、その恐れに駆り立てられて生きているのではないか、、ということを感じました。
本当は、人はもっと自由に生きれるのではないか、生きるのに必要なものって本当はそんなに多くないのではないか、、と。
彼は、終戦を迎え、密偵としての役割がおわったにも関わらず、まだ見ぬ世界に憧れて、ひたすら進んでいきます。
その好奇心の強さ、生活力、行動力、すべてが称賛に値すると感じました。
自分に投資するという言葉がありますが、生きていく上で大切なのは、自分自身の生活力を高めていくことなのだろうと思いました。
自分の生活力が高ければ、どんな境遇になってもいきていけるものなのだな、、と。
少し余談になりますが、先日、アンビリバボーという番組で、22年間、無一文で旅を続ける日本人というのが紹介され、驚嘆しました。。
西川氏でさえ8年なのに、こちらは22年間、一度も日本に帰国していないとのことでした。
これはヤバイ!
しかし彼は、全然気取っている感じがなく、明るく、とても自然で笑顔が素敵な人でした。。
奇跡体験!アンビリバボー:
猿岩石に憧れ所持金0で世界へ飛び出し22年
いやはや、同じ日本人でも規格外の素晴らしい人達がいるものですね、、驚嘆してしまいます。。
沢木耕太郎さんの天路の旅人の話に戻って、
いや~、ほんとにこの本は面白く、久しぶりに骨のある本を読んだ、、という気分になりました。
あれはどういうことだったのか、、という点がまだ自分の中で未消化のまま残っており、まだまだ余韻を楽しめそうです。
沢木さんの本、とても面白かったので、沢木さんの代表作とされる、ご自身がアジアや中東などを旅をした本、
『深夜特急』を、全6巻あるそうなのですが、少しずつ読み進めていこうと思います。
旅やチベット仏教、はたまた
人生における自由とはなんなのか、、、
ということに興味のある方は、是非是非、こちら『天路の旅人』、手にとって読んでみてください!
必ず、なにがしか得るものがあること間違いなしです!
おしまい
<(_ _)>
参考:
0 件のコメント:
コメントを投稿