先日寅さんシリーズ第29話にあたる『男はつらいよ あじさいの恋』を観ました。
私の人生の目標のひとつは寅さんシリーズを全巻観ることなのですが(スケールが小さい、、、かな?)、
この話ははじめてみるストーリーで、目標にまた一歩近づけました。
ストーリーはというと、、、
寅さんはひょんなことから京都の陶芸家と知り合い、そこで女中さんとして働く丹後出身の女性(いしだあゆみ)と仲良くなっていつもの恋の病がはじまるのですが、彼女は柴又を訪ねた折、なんと寅さんに置文をするのです。
「鎌倉のアジサイ寺で逢いましょう」
と。
はじめてデートに誘われ気の動転した寅さんは、何を血迷ったか甥の満男を連れてデートに行くのです。
北鎌倉のアジサイ寺にて。
鎌倉を散策した三人は、そのあと江ノ島に寄るのです。
江ノ電に乗って江の島へ。
そして江ノ島神社の参道にある、江之島亭で食事をしているシーンがありました↓。
暮れなずむ相模湾をバックに美しく、切ない恋のひと場面です。
今度、寅さんが食事をしていた江之島亭を見学しに行こうかな、と思いました。
しかし寅さんを観ていつも思うのは、寅さん映画の主題は「大いなる愛」なのではないかということです。
西洋映画の愛が男女間の狭い愛、利己的な愛、ギリシア哲学でいうエロスがテーマであるものが多いように思います。
寅さんシリーズも一見男女の色恋沙汰がテーマであるように作ってあります。
しかしその底流にあるのは、自分を犠牲にしても人を思いやる愛、いつもふらふらしているフーテンの寅さんをいつでも受け入れてくれる家族愛などといった大きな愛、ギリシア語で言うアガペーがテーマであるような気がするのです。
時には喧嘩もしますが、、、(お決まりのタコ社長との乱闘シーンも有りました)
西洋の映画が小さな愛が成就してエンディングを迎えることが多いのに対して、寅さんシリーズでは寅さん自身の恋という小さな愛はいつも成就しません。
その代わりに、それによって常に大きな愛が成就されているように作ってあるように感じられ、いつも感心してしまうのです。
そういった意味では、寅さんシリーズは時代を先取りした、世界に誇るべき、まことに偉大な映画なのではないか、という気がするのです。
もし今度何か『男はつらいよ』シリーズを見る機会があったら、そういう視点で見てみて下さい。きっとそう感じること請け合いです。
参考:
男はつらいよ:覚え書ノート
http://www.yoshikawatakaaki.com/lang-jap/otokono-to.htm
『男はつらいよ』公式サイト:
http://www.tora-san.jp/index.html
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