2011年8月17日水曜日

ドラッカー講義 第1回 感動のDNA (全4回)







100分 de 名著 ドラッカー』全4回講義の第一回の要点と

そこで取り上げられた印象に残るポイントをあげてみようと思います。


第一回の内容は、

如何にしてドラッカーが「マネジメント」というキーワードに到ったのかについてです。


ドラッカーは、1909年にオーストリア=ハンガリー帝国に生まれます。

育っていくなかで、彼は第一次世界大戦、アメリカを代表する資本主義の隆盛とつまずき(大恐慌)、社会主義の出現などを目の当たりにします。

その中で気づいたのが、資本主義も社会主義も人を幸せにしないということでした。

結局どちらも経済至上主義すなわち、金やモノのことしか考えていず、

人を中心に考えていないということに気づきます。







第一次世界大戦後のヨーロッパの人たちは、資本主義も社会主義も人を幸せにしてくれない、、、

と感じ、次の思想を待ちあぐねていた時に、ヒトラーの提唱する国家社会主義が台頭してきます。

しかし当時ジャーナリストであったドラッカーはヒトラーにインタビューまでしているのですが、






国家社会主義も人を幸せにするものではないという結論に到ります。

では経済至上主義、国家社会主義に替わる人を幸せにするものはなんなのか、

それにかわるものがあるはずである、、、

この考えで終わっているのが、彼の処女作である

経済人(エコノミックマン)の終わり』(1939年)

なのです。

経済人(エコノミックマン)というのは、エコノミックアニマルと同じ意味で、

経済のために生まれ、経済のために死んでゆく、経済至上主義を標榜する人たちのことです。

ドラッカーはエコノミックマンの時代がやがて終わることを1939年に説いているのです!


やがてドラッカーは、現代社会は組織で成り立っていることに着目します。

すべての人が組織で働いているとするなら、

組織をより良いものにしていけば、やがて社会もよりよいものとなるはずだ、

と考えるようになります。







そして資本主義や社会主義にかわるものとして、

組織の運営の仕方=マネジメントにこそ注目すべきではないかという考えに到ります。


しかしドラッカーのいう組織というのは、単に利益を生み出すための組織ではなく、

中心に人がいる組織人と人が一緒に働きながら、それぞれが幸せになる組織というものを頭の中に思い描いていました。

そしてそのような組織にするためにはどのような組織運営を行っていくのがいいのか、と考えるようになります。


そこでドラッカーは、実際の企業活動の現場をみなくてはならないと、GMをはじめ、フォードやGEをつぶさに研究します。

そして、その研究成果を集大成したのが大著『マネジメント』として誕生するのです。





では、その『マネジメント』の中ではどのようなことが説かれているのでしょうか。

番組内で紹介された箇所を取り上げてみましょう。





ここでは、今までの歴史の経緯から、経済至上主義、全体主義に対抗出来得る唯一のものは、

マネジメント(人を中心に置いた組織運営)であると説いています。


この中で言及されているマネージャーというのは、企業のトップのことを言っているのではなく、

一人ひとりがマネージャーであるという事を言っています。






人任せで無関心というのではなく、

組織に属する一人ひとりが、当事者(経営者=マネージャー)としての意識をもつことが大事だということですね。


翻訳者である上田氏は、次のように述べています。




それはなぜかというと、マネジメントというのは人を中心に置き、人を大事にするからです。


たとえば人にはそれぞれ長所、短所がありますが、

いまの教育は人のそういった凸凹を丸くするようにします。

上田氏はそういった教育は全然ダメで、

それぞれがもっている凸の部分(強み)を集結すれば、無茶苦茶な力を発揮させることができる、と言っていました。

強みに焦点を置いて、それぞれがもつ弱みを消してしまうこと、これが組織もつ特色なのだそうです。


上田氏は、色々な人間がいることは困ったことではなく、有難いことだと思えと言っていました。





教育に関しては、当ブログで何度かとりあげてきました。

日本の教育は、明治以来、富国強兵の号令のもと、すぐに国家に役立つ、平均的に能力の高い人材の育成を目指してきました。

そしていまだにその思想を引きずっているところがあります。

確かにバランスというのは大事です。

しかしある能力に関して飛びぬけた才能があるにもかかわらず、

別の科目がまったくダメなために上の教育が受けられないとなると、社会として多大なる損失、まさに宝を腐せているようなものです。

すべてはバランスをとる方向に働くし、

ドラッカーが語るように、現代は組織として人が活動しているのだから、

若いうちにすべての能力を求めるのではなく、もっと長所、強みを伸ばしていく教育というものがあってしかるべきだと思います。

また受け入れる社会の方も、年齢や単純な学歴だけを物差しとするような採用を再考すべきではないかと思います。


さて話しが少しそれましたが、次に番組で紹介されたのが、下の個所です。




企業の目的は、利益にあるのではなく、

企業の外すなわち社会にいかに貢献するかにあるということです。

更に、企業の目的とは顧客を創造することにあるのだそうです。


顧客の創造というと少し難しい感じがしますが、

要はそれまで顧客だと考えてきた人たちがたとえば社会の30%だとすると、

残りの70%は非顧客です。

しかしそういった人たちが潜在的にどのようなニーズをもっているかを知り、

彼らが幸せになるお手伝いをする、

それが顧客を創造すること、すなわち企業の目的である、ということなのだそうです。








上田氏は、ドラッカーがよく言っていたことばとして、

理想を求め、手持ちの道具で、

ケースバイケース、創意工夫しながら

一歩一歩進んでいく

ということを番組内で何回か繰り返していました。


理想を抱き、施行錯誤しながら、地道に、一歩一歩進んでいくことって大事なんですね。



最後に、ドラッカーは未来に起こることをあまりに的中させるので、

あるひとは彼を未来学者と呼ぶそうなのですが、彼自身は未来のことはわからない、と述べていたそうです。

しかし未来を知るための方法が二つあると言っていたそうです。

それは、

すでに起こった未来をみること

自分で未来を作ること

だそうです↓




歴史はビジョンをもつ一人ひとりの人間がつくっていくものだ

とドラッカーは語っていたそうです。


私達一人ひとりが、高いビジョンをもち、未来を創っている当事者として意識をもって、より良い社会をつくっていけたらと思います。



第二回につづく、、、



参考:

NHK 100分 de 名著 ドラッカー
http://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/03_drucker/index.html


ドラッカー『マネジメント』 2011年6月 (100分 de 名著)


彦兵衛のブログ(ドラッカーを扱った回すべて↓):

ドラッカーはやはり偉大だ!(100分de 名著 ドラッカーのテキスト紹介)【2011/8/14】
http://mshiko.blogspot.com/2011/08/blog-post_14.html


ドラッカーの金言 その弐(『ドラッカー365の金言』の紹介)【2011/2/24】
http://mshiko.blogspot.com/2011/02/blog-post_24.html


ドラッカーの金言(『ドラッカー365の金言』の紹介)【2011/2/22】
http://mshiko.blogspot.com/2011/02/365-2005122-365-2005122.html


本当の幸せとは、、、by ピーター・ドラッカー (『図解で学ぶ ピーター・ドラッカー』の紹介)【2011/2/17】
http://mshiko.blogspot.com/2011/02/by-peter-drucker.html


イトコの結婚式にいって思ったこと その2(『P.F.ドラッカー―理想企業を求めて』の紹介)【2010/8/2】
http://mshiko.blogspot.com/2010/08/2.html


経営の神様 ピーター・ドラッカーの経営哲学(NHKクローズアップ現代)【2010/3/26】
http://mshiko.blogspot.com/2010/03/blog-post_26.html








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