現在、ダライ・ラマ14世が日本にいらっしゃって、各地で講演などをなさっているようです。
チベットの人たちはダライ・ラマ14世のことは、「ダライラマ」ではなく、「クンドゥン」と尊称で呼んでいました。
そういえば、ダライラマの半生を描いた映画も題名は「クンドゥン」でしたね。
今回来日されているダライ・ラマ法王は、ついてすぐの科学者たちとの対話において次のような話をされたそうです。
「近代科学はこれまで物質的な側面に注目してきた。これからは人の心や脳、意識を深く研究すべきで、それには仏教の教えが有用」
これまで文明と称されるものは、現象における物質的側面をひたすら追求してきましたが、
その物質を見ている本人の心の領域の探求はあまりになおざりにされてきたと思います。
結局は人は「満足」を追求する方向に活動しますが、
いまの方向が本当に満足を得られる方向なのか、一度立ち止まって考えてみる必要が誰にとってもあると思います。
しかし一方で、中国に蹂躙されたチベットの現状を見ると、単に精神的なものだけを追求していても悲劇に見舞われることがあるということを示しているように思います。
家に鍵をかけたり、防犯設備を整えるなど、最低限度の備えをすることで犯罪を未然に防止することができるのと同じで、
やはり平和を標榜する国であっても、周りの現状を考慮して、現実的に最低限の防衛力は備えておくべきなのかもしれません。
私がチベット亡命政府のあるダラムサーラでお世話になっていた下宿のご主人(写真はココに載せました)、
は、チベットにいた頃、チベット軍にいたということでした。
下町で買ってきた庖丁が良く切れないんですよ、と相談したところ、流しのコンクリートのところでゴリゴリ庖丁を研ぎ出した姿は、
軍隊にいた頃の迫力を感じさせました。
しかし馬やライフルやナイフなどでは、とうてい人民解放軍には敵わなかっただろうな、と少しさびしい気持ちになりました。。。
さて余談はおいといて、ダライ・ラマ法王は松山の講演で、
「うつになり、ドラッグや自殺に走る人も多いと聞く。物質的に豊かになっても、精神的な問題は残る。私のようにゆったりとした心の持ちようをするべきだ」
と語ったそうです。
自分の祖国を追われ、数々の困難にあってきたにも拘らず、この余裕はさすが仏教者だなと感じました。
私はインドにいた頃、ダライ・ラマの説法は何回か聞きに行きましたが、彼のチベット語での話し方が小鳥がさえずるような感じであったことがとても印象的でした。
またその話す姿も、瞑想しているような祈るような姿勢で、体を前後、左右にゆすったりしながら、実に気持ちよさそうに話しをされるのです。
三昧に住しながら話しているという感じで、とても印象に残る説法でした。
今回の東京での講演では、環境保護に関する質問に対しては
「インドには他の生き物を尊重する伝統がある」
とおっしゃったそうですが、チベット人は本当に虫なども大事にするのです。
私なんか、蚊に噛まれたらバッチン、バッチン叩くし、ゴキブリがいたら、ごめんねぇ~といってプチっと潰してしまいますが、
チベットの人たちは本当にすべての有情(生き物)を大事にします。
ダラム・サーラの下宿から、チベット語の学校まで、ずっとアスファルトの坂道が続いていたのですが、
その道の真ん中にミミズが出ていたりすると、通るチベット人が、枝などで道のわきにその都度逃がしてやるのです。
私はその光景をみて、う~~ん、、、と考えさせられました。
仏教を実践するというのは、本当はこういうところからなのかもしれない、、、と。
パラマハンサ・ヨガナンダの本を読むと、ガンジーに会いに行った話などが載っているのですが、
ガンジーのアヒンサー(非暴力)も徹底していて、自分をさしに来る蚊さえ本当に殺さなかったそうです。
こういう小さいことの積み重ねって大事なのでしょうね。
しかし、現代の国を率いているリーダーで、ダライ・ラマ法王のような人が存在していること自体、本当に奇跡だなと感じます。
しかしあまりに偉大すぎて、彼が亡くなった後、チベット民族はどうなっていくのか少し心配してしまいます。
当然、14世の生まれ変わりを探す事でしょうが、
チベット人たちの話によると、ダライラマ法王本人の話として、今後転生しないという話もあるそうです。
いずれにしても今現在日本にいらっしゃるので、その間にダライラマ法王が私達にどのような話しをされるのか、注目していたいと思います。
さてチベットの話のついでに、
前にここでチベット人僧侶の映画『ザ・カップ』を紹介しましたが、
この監督かつ偉大なリンポチェでもある、ケンツェ・ノルブ氏の次回作はいつになるのか、と期待していたのですが、
実はすでに上映されていたことが最近、アマゾンUSAを見ていて分かりました↓。
Words of My Perfect Teacher(2008)
しかしたいへん残念なことに、日本には紹介されていないようです。
えーー、なんでーー??
ザ・カップを見た人なら、絶対見るのに!
とても残念でなりません。
こうなったら、最後の手段としてアメリカから中古のDVDでも取り寄せて観ようかとも思ったのですが、
リージョン1とかリージョン2などといった地域によって規格があり、アメリカのDVDは日本の機器では再生できないらしいんですよね。
あ~まいった。
どんな映画になってるのか楽しみだったのになぁ~。
この映画なんとしても見たいので、現在方法を思案中であります。
おしまい
参考:
ダライ・ラマが対話集会 科学と仏教の融合訴え
http://www.47news.jp/CN/200911/CN2009110101000433.html
ダライ・ラマ14世 松山で講演
http://mytown.asahi.com/ehime/news.php?k_id=39000000911040003
映画クンドゥン
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%B3%E3%83%89%E3%82%A5%E3%83%B3
クンドゥン予告編↓
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