引き続き『ガンに効く生活』から心に残った箇所を引用したいと思います。
私はこの本の第四章 “効果のある食べ物”から読み始めたのですが、出だしが
チベット亡命政府のダラムサーラ
での話から始まったことにとても驚きました。
ここにも書いてあるとおり、チベット人の間では、急性の疾患に対しては西洋医学が有効ですが、慢性病に対しては圧倒的にチベット医学が信頼されているようですね。
それもその筈、チベット医学は症状をなくせばいいという対症療法ではなく、
その人の思考や食習慣などの生活全般にわたる指導を行い、病が発生した原因そのものを改善し、病の根治を目指すからです。
チベットに関してはご存じの方も多いかと思いますが、「チベット」という独立国は現在存在しません。
1959年以降、中国の一部とされてしまっており、チベット人による反乱が起こると、内政問題として扱われる状態にあります。
指導者であるダライ・ラマ法王は20代のころ陸路ヒマラヤを越えインドに渡り、現在北インドのダラムサーラに亡命政府を構え、多くのチベット人もここに住んでいます。
実は私はチベット語を学ぶために一年間ダラムサーラに住んでいました。
(去年久しぶりに訪れて写真を撮ってきました。ベランダから見た景色を左から右へ連写しました↓)
住んでいたアパートから見えていた景色1
(市街地方面:pictures of Dharamsala, India)
住んでいたアパートから見えていた景色2
(向こうに万年雪を頂く山が見えていました)
住んでいたアパートから見えていた景色3
よく谷間をハゲタカが滑空していて、鳥は三次元の空間を移動しているんだなぁと実感しました。
嵐になると山の向こうからどす黒い雲がもくもくと湧いてきて、ものすごい雷が落ちました。
住んでいたアパートから見えていた景色4。
ダラムサーラはアッパーダラムサーラとロウワーダラムサーラからなっていますが、右下へ行くとロウワーダラムサーラにでます。チベット語を学んでいた学校も坂を下っていったところにありました。
景色のいい場所から下を眺めるとずっと大地が広がっていて、インドは大陸なんだなぁと実感しました。
私はこんな感じの町に住んでいたのですが、調子の悪いときは幾度となくチベット医のお世話になりました。
一番最初に訪れたのは、住み始めて数カ月してお腹を壊した時でした。何日も水のような便が続き、食欲もなく、私はひたすら寝ていました。
持ってきた正露丸を飲んではいたのですが、まったく効きません。
まるでお腹の中でインドの病原菌たちが、
ナニコレー、こんなんで俺たちを倒そうってか、ウケケケ、、、
とせせら笑っているようでした。かなしいほど効果がありません。
3日が過ぎ、げんなりしたまま症状に改善が見られなかったので、重い体を引きづりながら、どうにでもなれという気持ちで、チベット医のところへ行きました。
病院に入ろうとしたところで、赤い僧服を身にまとった年配のお坊さんとすれ違ったのですが、彼がニコッとして、どうぞという感じで道を開けてくれたのですが、その動作とまなざしが病んだ体にとてもあたたかく感じられ、嬉しかったのを覚えています。
部屋に入ると白衣を着たアムチ(チベット医学のお医者さん)がいました。私は椅子にすわり、症状を話すと、アムチは私の脈を三本の指でじっと診ます。
それで大体の症状がわかったのか、薬の処方箋をもらいました。
この治療費はいくらだろうか、、、とおそれつつ部屋を出て受付に行くと、診察料はタダだということでした。
必要なのは薬のお金だけで、それも数十ルピー〔数百円〕でした。
ええーー、そんなんでいいのぉーー?
私は身体的にも、精神的にも参っていたので、このシステムには涙が出るほどうれしかったです。
病によって体も心も弱っている人が高額なお金を払わなければならないというのはたいへんな重荷ですが、チベットの社会は弱者にやさしいなぁと感じました。
さすが仏教の教えが日常生活に生かされている素晴らしい社会だなと感じました。
出口には、ドーネーションBOXという寄付金入れが置いてあったので、私はそこに100ルピー札を数枚(それでも5、6百円ぐらいですが、、)を入れたように思います。
頂いたチベットの丸薬をその晩お湯と一緒に飲みました。そして一日寝ると、なんと翌日には体調が回復していたのです。
スゲー、チベット医学すげーよ!
私はこの時以来、体調を崩すと必ずチベット医のところに行きました。そして頂いた丸薬を飲むと必ずなおったのです。
この丸薬は日本の漢方薬のように、さまざまな薬草を調合したもので、噛むと独特の香草の香りがします。
いまでもチベットのハーブティーを飲むと、その時の味がよみがえってきて気力が充実してくる感じがするのです。
(たまにはお店の宣伝。下の写真をクリックすると、お店の商品情報へとリンクします。)
ついでなので、ここでダラムサーラで撮ってきた写真を載せておきます。
チベット語を学んでいた建物。坂を下って行ったところの崖の下にありました
チベット語を学んでいた建物正面
私はこんな感じの町に住んでいたのですが、調子の悪いときは幾度となくチベット医のお世話になりました。
一番最初に訪れたのは、住み始めて数カ月してお腹を壊した時でした。何日も水のような便が続き、食欲もなく、私はひたすら寝ていました。
持ってきた正露丸を飲んではいたのですが、まったく効きません。
まるでお腹の中でインドの病原菌たちが、
ナニコレー、こんなんで俺たちを倒そうってか、ウケケケ、、、
とせせら笑っているようでした。かなしいほど効果がありません。
3日が過ぎ、げんなりしたまま症状に改善が見られなかったので、重い体を引きづりながら、どうにでもなれという気持ちで、チベット医のところへ行きました。
病院に入ろうとしたところで、赤い僧服を身にまとった年配のお坊さんとすれ違ったのですが、彼がニコッとして、どうぞという感じで道を開けてくれたのですが、その動作とまなざしが病んだ体にとてもあたたかく感じられ、嬉しかったのを覚えています。
街中にはお坊さんがふつうに歩いています
部屋に入ると白衣を着たアムチ(チベット医学のお医者さん)がいました。私は椅子にすわり、症状を話すと、アムチは私の脈を三本の指でじっと診ます。
それで大体の症状がわかったのか、薬の処方箋をもらいました。
この治療費はいくらだろうか、、、とおそれつつ部屋を出て受付に行くと、診察料はタダだということでした。
必要なのは薬のお金だけで、それも数十ルピー〔数百円〕でした。
ええーー、そんなんでいいのぉーー?
私は身体的にも、精神的にも参っていたので、このシステムには涙が出るほどうれしかったです。
病によって体も心も弱っている人が高額なお金を払わなければならないというのはたいへんな重荷ですが、チベットの社会は弱者にやさしいなぁと感じました。
さすが仏教の教えが日常生活に生かされている素晴らしい社会だなと感じました。
出口には、ドーネーションBOXという寄付金入れが置いてあったので、私はそこに100ルピー札を数枚(それでも5、6百円ぐらいですが、、)を入れたように思います。
頂いたチベットの丸薬をその晩お湯と一緒に飲みました。そして一日寝ると、なんと翌日には体調が回復していたのです。
スゲー、チベット医学すげーよ!
私はこの時以来、体調を崩すと必ずチベット医のところに行きました。そして頂いた丸薬を飲むと必ずなおったのです。
この丸薬は日本の漢方薬のように、さまざまな薬草を調合したもので、噛むと独特の香草の香りがします。
いまでもチベットのハーブティーを飲むと、その時の味がよみがえってきて気力が充実してくる感じがするのです。
(たまにはお店の宣伝。下の写真をクリックすると、お店の商品情報へとリンクします。)
ついでなので、ここでダラムサーラで撮ってきた写真を載せておきます。
アパートの大家さんのおじさんとおばさん。真ん中は台湾からの留学生でチベット語を学んでいるそうです。
眺めのいい所からは、雪山がよく見えました。今回訪れた時は、日の出とともに屋上に出て、こんな景色を見ながらチベット体操をしていました。
お香の香りがどこからともなく漂ってきて、お坊さんの読経が聞こえてきます。ああ俺はダラムサーラが好きだな、とこのときほど強く思った事はありません。
精神的な教えと経済活動とがうまく組み合わさった人にやさしい町ってどうやったら実現できるのかなとつくづく思います。
お香の香りがどこからともなく漂ってきて、お坊さんの読経が聞こえてきます。ああ俺はダラムサーラが好きだな、とこのときほど強く思った事はありません。
精神的な教えと経済活動とがうまく組み合わさった人にやさしい町ってどうやったら実現できるのかなとつくづく思います。
「あっちいくの?」
ダラムサーラには野生の猿がたくさんいました。一度部屋を開けっ放しにしていたら、猿が入り込んで、リンゴを持って行かれました。
ダラムサーラには野生の猿がたくさんいました。一度部屋を開けっ放しにしていたら、猿が入り込んで、リンゴを持って行かれました。
ダライ・ラマの寺院へ行く途中でとった牛さんです。夕方になるとチベットの人たちは寺院のまわりを時計回りにぐるぐる回るのです。いい運動になるなぁと思いました。
優雅ですなぁ。この写真をとっていたら、やはり寺院をまわりにきたチベット人のおばあちゃんが、「パンダ・カウ」(パンダ柄の牛)といって笑って背中をたたいてきました。私も「ぱんだ・かう、パンダ・カウ」といって、つられて大笑いしてしまいました。
これは私が住んでいたアパートがたっていたあたりです。どこかの建物がそうですが、よくわかりません。このようにダラムサーラは山の斜面にへばりつくように存在しています。
たまに町から歩いて45分ぐらいのところにある滝にピクニックに来ました。川の岩場でお坊さんが僧衣を洗って干していたりしていて、のどかな景色でした。
滝といっても小さなものですが、近づくととても涼しくてつい長居してしまいました。
滝といっても小さなものですが、近づくととても涼しくてつい長居してしまいました。
チベット寺院のひとつ。
ダラムサーラにはこんな感じの寺院があちこちにあります。
写真を見ていたらまた強烈に行きたくなってしまいました。
今回はここらへんでおしまい。
おまけ
写真を見ていたらまた強烈に行きたくなってしまいました。
今回はここらへんでおしまい。
おまけ
これはロウワーダラムサーラのバス・ステーションでの一枚。
この床屋は営業許可とか取っているのだろうか。私はこのようなインド人の生活力の強さが好きですね。いいなぁー。
参考:チベット関係のお薦め本〔一部〕
≪チベット医学関係≫
『チベットの精神医学 チベット仏教の概観』テリー・クリフォード著/中川和也 訳 春秋社 1993
『チベット医学入門 ホリスティック医学の見地から』トム・ダマー 春秋社 1991
『明るいチベット医学』 大工原弥太郎 情報センター出版局 1988
『チベット医学:身体のとらえ方と診断・治療』 イェシェー・ドゥンデン著 三浦順子訳地湧社 2001
『ダライ・ラマ14世の主治医が語る心とからだの書』 ロプサン・ワンギェル 法研 1995
≪チベット仏教・哲学≫
『タントラ - 狂気の智慧』チョギャム・トゥルンパ めるくまーる 1983
『タントラへの道 -精神の物質主義を絶ち切って』 チョギャム・トゥルンパ めるくまーる 1981
『チベットに生まれて』 チョギャム・トゥルンパ 人文書院 1989
『心の迷妄を断つ智慧:チベット密教の真髄』チュギャム・トゥルンパ/宮坂宥洪 春秋社 2002
『智慧の女たち:チベット女性覚者の評伝』 ツルティム・アリオーネ 三浦順子訳 春秋社 1992
『虹と水晶 チベット密教の瞑想修行』 ナムカイ・ノルブ/永沢哲 訳 法蔵館 1992
『ゾクチェンの教え チベットが伝承した覚醒の道』 ナムカイ・ノルブ/永沢哲 訳 地湧社 1994
『チベットの瞑想法』 ナムカイ・ノルブ/永沢哲 訳 法蔵館 2000
『夢の修行 チベット密教の叡智』 ナムカイ・ノルブ/永沢哲 訳 法蔵館 2000
『叡智の鏡:チベット密教・ゾクチェン入門』 ナムカイ・ノルブ/永沢哲 訳 大法輪閣 2002
『ゾクチェン入門』 ダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォ 春秋社 2003
『チベット死者の書:仏典に秘められた死と転生』 河邑厚徳/林由香里 日本放送出版協会 1993
『原典訳 チベットの死者の書』川崎信定 訳 筑摩書房 1989
『【ゲルク版】チベット死者の書』 平岡 宏一 訳 学研 1997
≪チベット体操≫
『若さの泉:5つのチベット体操』 ピーター・ケルダー 渡部昭子訳 河出書房新社 1993
『奇跡のアンチエイジング・エクササイズチベット体操&アーユルヴェーダ・ヨーガ』 西川眞知子 PHP研究所 2005
『魔法のチベット体操-ヨガの原型(ルーツ)-』 岡本羽加 主婦の友社 2005
この床屋は営業許可とか取っているのだろうか。私はこのようなインド人の生活力の強さが好きですね。いいなぁー。
参考:チベット関係のお薦め本〔一部〕
≪チベット医学関係≫
『チベットの精神医学 チベット仏教の概観』テリー・クリフォード著/中川和也 訳 春秋社 1993
『チベット医学入門 ホリスティック医学の見地から』トム・ダマー 春秋社 1991
『明るいチベット医学』 大工原弥太郎 情報センター出版局 1988
『チベット医学:身体のとらえ方と診断・治療』 イェシェー・ドゥンデン著 三浦順子訳地湧社 2001
『ダライ・ラマ14世の主治医が語る心とからだの書』 ロプサン・ワンギェル 法研 1995
≪チベット仏教・哲学≫
『タントラ - 狂気の智慧』チョギャム・トゥルンパ めるくまーる 1983
『タントラへの道 -精神の物質主義を絶ち切って』 チョギャム・トゥルンパ めるくまーる 1981
『チベットに生まれて』 チョギャム・トゥルンパ 人文書院 1989
『心の迷妄を断つ智慧:チベット密教の真髄』チュギャム・トゥルンパ/宮坂宥洪 春秋社 2002
『智慧の女たち:チベット女性覚者の評伝』 ツルティム・アリオーネ 三浦順子訳 春秋社 1992
『虹と水晶 チベット密教の瞑想修行』 ナムカイ・ノルブ/永沢哲 訳 法蔵館 1992
『ゾクチェンの教え チベットが伝承した覚醒の道』 ナムカイ・ノルブ/永沢哲 訳 地湧社 1994
『チベットの瞑想法』 ナムカイ・ノルブ/永沢哲 訳 法蔵館 2000
『夢の修行 チベット密教の叡智』 ナムカイ・ノルブ/永沢哲 訳 法蔵館 2000
『叡智の鏡:チベット密教・ゾクチェン入門』 ナムカイ・ノルブ/永沢哲 訳 大法輪閣 2002
『ゾクチェン入門』 ダライ・ラマ14世テンジン・ギャツォ 春秋社 2003
『チベット死者の書:仏典に秘められた死と転生』 河邑厚徳/林由香里 日本放送出版協会 1993
『原典訳 チベットの死者の書』川崎信定 訳 筑摩書房 1989
『【ゲルク版】チベット死者の書』 平岡 宏一 訳 学研 1997
≪チベット体操≫
『若さの泉:5つのチベット体操』 ピーター・ケルダー 渡部昭子訳 河出書房新社 1993
『奇跡のアンチエイジング・エクササイズチベット体操&アーユルヴェーダ・ヨーガ』 西川眞知子 PHP研究所 2005
『魔法のチベット体操-ヨガの原型(ルーツ)-』 岡本羽加 主婦の友社 2005
2 件のコメント:
はじめまして!
ブログを興味深く拝読しました。
ダラムサーラは想像していたより緑が多くて、住みやすそうですね。
ダラムサームへ一度 行ってみたいと思っています。
Isis53さん、コメント有難うございます。
ダラムサーラは確かに緑が多いです。
夏になると、裸電球に実に様々な模様の蛾が集まってきて、これをみたら昆虫学者が喜ぶだろうなぁと思ったものです。
ダラムサーラは山の中に町を造ったという感じなので、緑は周辺にたくさん残っています。
ダラムサーラ是非訪れてみてください。また私のオススメは、近くのチベット人コロニーのビル(Bir)という町です。
そのうちビルについても写真つきで紹介できたらなぁと思っています。
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