2016年10月8日土曜日

オペレーション ゴールドフィッシュ その弐



夏の終わり、まだセミがミンミンないていた昼下がり、

パスコの全粒パンをもって、鯉のえさやりに行きました。


いつものように、下の棚から順に餌をやっていきました。

3段目の棚の所にきて、餌を撒くのですが、桜ちゃんの姿が見えません。。。

ん~、今日はどこかに隠れたままか、、

と思って上流の方に移動していきました。


5-6段目くらいの棚で餌をやっているとき、ふと下流の方に目をやると、

小学3年生くらいの男の子が鯉に餌をやっているのが目に入りました。

ニコニコ笑いながら、何か歌をうたいつつ、、。

へぇー、ここで餌をやってる人初めて見たなぁ~、、、。

私はさりげなく、ちょっと近づいて行ってみると、そこは例の下から3段目の棚でした。

水路を覗き込んでみると、

な、なんと、私が餌を撒いていても出てこなかった、

あの滅多に姿を見せない桜ちゃんが出てきて元気に泳ぎ回っているではないか!?

私は少年の顔を見ると、少年も振り向き一瞬目が合いました。

その少年の目がとても印象的でした。

顔はニコニコ、目が澄んでいてきらきら輝いているのです。。

少年は引き続き何やら歌をうたいながら餌やりを続けています()

ふーん、何か不思議な少年だなぁ~、、。

私はそう思いつつ、

少年から離れ、上流の方に移動していきました。


私がひとつずつ上流の棚に移動すると、少年も少しずつ上流の方に移動して鯉に餌をやっていました。

最初見た時に気付いたのですが、少年の足元には、何か長っ細い木の枝みたいなのがおいてあり、

なんだろ?と思っていましたが、少年が上流に移動すると、またその足元にその枝がありました。

よく見ると棕櫚の葉?のようなもので、少年がどこかから拾ってきたものなのでしょうか。

移動するたびに、それを一緒に移動させているようでした。


私は、持ってきたパンを上流まで行ってすべて撒いてしまうと、餌をやっている少年の横を通り過ぎ、

自転車に乗ってそのまま買い物に行きました。


あとからよくよく考えてみると、ちょっと変わった少年でした。

あのくらいの年齢の子なら、ひとりで鯉に餌をやっていてもおかしくないと思うのですが、

その顔つきがなんとなく今の子っぽくないんですよね。昔の田舎にいそうな少年の顔つきでした。

にこにこ笑いながら、歌をうたいつつ鯉に餌をやっている姿、

そして鯉にやっていたのは耳パンなんですが、

それが一つの家庭からでるにしては尋常でない量のパンの耳で、それをビニールの袋いっぱいもっていました。

その少年の表情、澄んだ目、足元の棕櫚の葉のようなもの、、どこか神がかっているところがありました。。

あの子はもしかしたら、座敷童か、河童か、神の使いか、、近くに熊野神社もありますし、、

何かしら神聖な存在であったような、、そんな気がしたのであります。

それ以降、その少年を一回も見かけることはありませんでした。

うーん、同じ鯉に餌をやるもの同士として、声をかけてみればよかったか、、などと思っています。

水路にいた不思議な少年の話でありました。。




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