2023年9月24日日曜日

チベット偽装の十年

 

当ブログで、沢木 耕太郎 (著)『天路の旅人を紹介しましたが、


彦兵衛のブログ:『天路の旅人』とともに、、2023.5.7


その中に登場する、やはり密偵としてチベットに潜入し、インドに抜けて、天路の旅人の主人公である西川氏と再会することとなった木村氏の本を読みました↓



木村 肥佐生『チベット偽装の十年』1994


こちらは絶版本で、図書館にあったものを読みましたが、『天路の旅人』に勝るとも劣らぬ面白さでした。


中国侵略前のチベットの情勢が生き生きと描かれており、その中に出てくる様々な僧侶などとても人間臭くて、


チベットの実態ってこんな感じだったのか、、ということが目に浮かぶようによくわかりました。


印象に残ったところがいくつからあり、


その一つは、中国大陸の内陸部の無法地帯に住むイスラーム教徒の荒くれ者たちの描写でした。


彼らは、人を襲うと、躊躇なく生きたまま手足を切り、また皮をはぎ、その人たちを地面に放置したまま、その横で笑いながら飯を食べるような人たちであったとのことでした。


そういう人たちに捕まって、なんとか無事に生還した人の話として載っていたので、そのような人たちがいたことはまず間違いないことだろうと思うのですが、


仏教徒だろうと、イスラームだろうと、そのような行為をすれば、因果が巡って、必ずいつかは相手に与えた苦しみを自分が味わわなければならないだろうに、よくそんなことをしてしまうな、、と思いました。


まず仏教徒なら、そのようなことはやらないでしょうが、宗教がなんであろうと、無知というものは恐ろしいものだな、、と感じました。


何も知らないとそのようなことが平気でできてしまうのだな~、、と末恐ろしくなりました。


時々、日本でも若い子たちで無性に人を殺したくてたまらなくて、身近な猫などを殺していたが、それでは満足できずに、人を殺傷して事件を起こすようなことがありますが、


案外、そういう人たちは、前世の暮らしぶりと関係しているのかもしれないな、、などと思いました。


天路の旅人の西川氏は、日本に帰国後、化粧品会社で働くわけですが、一方の木村氏は、その後アカデミズムの世界に身を投じ、後進を育てていたようです。


ペマ・ギャルポさんが、木村氏などの働きかけで、チベット難民の中から留学生として日本に送られ、木村氏の教えを受けた人物だということを初めて知りました。


本書の最後に、ペマ・ギャルポさんが木村氏に寄せて書いた文章があり、木村氏の人柄がよくわかり、これまた面白かったです。


本というのは、時代、空間を超えて活躍した人たちの様子を知ることができ、


自分の狭い視野を広げてもらえる視点をたくさん与えてもらえるという意味で、本当に貴重で有難いものであるな、と強く感じます。


また、このような紀行文というのか、旅行記というのか、日常生活を送っていると、つい狭くなりがちな視野を押し広げてくれる書物に出会い、目を開かせてもらいたいなと思うのでありました。


さて、次は何を読もうかな~、、。


参考:



木村 肥佐生『チベット偽装の十年』1994


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