2008年7月21日月曜日

アーモンドとミツバチ

さて、この花はなんの花でしょう?














とうぜん桜でしょう、、、、と思いきや実はアーモンドの花なのです。びっくりですよね。

少し前にNHKクローズアップ現代でアメリカで今ミツバチが大量に失踪しているという放送をしていたのですが、その中でミツバチがいなくなることによって受粉の困難になる作物がたくさん紹介されていました。


えっこんなのも? とびっくりするほどたくさんの農産物が紹介されていた中に、アーモンドがありました。

が、その花として紹介されていたのがどうみても桜だったのです。
あれ、画像まちがえているんじゃないの?
とおもって見てたのですが、調べてみるとあの桜のような花が実はアーモンドの花だったのです。



ミツバチの謎の大量失踪に関してですが、番組では単一植物の花粉だけを摂取し続けることによる栄養不足、また農薬による免疫の低下などが挙げられていましたが、数千万匹ものハチが短期間の内にいなくなっており、その死骸もみつかっていないというのが不可解です。

この現象は蜂群崩壊症候群(CCD)と名づけられ原因の究明にあたっているそうですが、いまだはっきりしたことはわかっておらず、有効な対策の立てようがないそうです。

旱魃などの異常気象、原油の高騰、穀物のバイオ燃料への転換に加わえ、今回のミツバチの大量失踪は、食物の高騰にさらに拍車をかける要因になりそうだと報告していました。


さて、アーモンドですが調べてみると、
バラ科サクラ属ということで、ほとんど桜と同じ品種といってもいいくらいの近さです。

ナッツとして食べるアーモンドは、
その実の種(正確にいうと仁:種の殻の中身)だそうです。



和名は扁桃(へんとう)というそうです。
そう、あの扁桃腺の扁桃です。
扁桃線は形がアーモンドに似ているからつけられたそうです。

英語のalmondの語源をたどると、ラテン語のamygdalaに由来するそうですが、このamygdalaという語は現在でも人体のアーモンド状の構造をさす専門用語として医学や解剖の分野で使われているので、発想は同じですね

扁桃腺もamygdalaなのですが、ふつうはtonsilという語が用いられるようです。
語源もずばり扁桃腺そのものを意味するラテン語から来ておりアーモンドとは無関係でした。

amygdalaといった場合、専ら脳のアーモンド状の構造、
側頭葉の奥にある扁桃体や小脳の扁桃をさすようです。


この側頭葉の内側にある扁桃体、調べてみるととても興味深いことがいろいろとわかりました。

扁桃体は人間の恐怖や快楽、好き嫌い、食欲、性欲などを司っているそうで、
脳の中心に近いところからもわかるように、旧い脳で、動物的、本能的な機能を果たしているそうです。

サルの扁桃体を破壊すると、ふつうヘビを怖がるサルが平気でヘビにさわり、あるいは噛り付いたりして恐怖とか危険の観念が全くなくなってしまうそうです。
生物の教科書か何かにサルがビニールのヘビのおもちゃをかじっている写真が載っていたのをとても印象深く覚えているのですが、あぁ、あれはこの扁桃体の破壊実験だったんだといまさらながらに認識を新たにしました。

他にこの扁桃体は認知症との関連が言われており、
危険に対する認知力の低下あるいは過剰な恐怖反応、異食(食物と非食物との違いがわからなくなる)や清潔・不潔に対する観念の欠如など、この扁桃体の機能が損なわれたことによる症状と推測させているそうです。


またNHKのためしてガッテンではこの扁桃体と関わりで、「夫婦喧嘩」と「振り込め詐欺」をとりあげていましたが、この場合は扁桃体の働きすぎが問題となったものとみることができると思います。

特に振り込め詐欺にあっている最中は、この扁桃体が活発にはたらいているそうで、向こうから与えられる恐怖や不安そして時間がないといった情報によって扁桃体が活性化し、一種のパニック状態になってしまい、そこからぬけられなくなって、どこかで詐欺ではないかと思いながらもついつい振り込んでしまうそうです。

最近読んだ江原さんの本のなかで、
振り込み詐欺にひっかかるのは、現代の日本人の特徴として、
体面を保つためにその場を取り繕う、臭いものにふた、
といった小我(エゴ)にもとづく心性があり、
振り込め詐欺はこの現代日本人の習性をうまくついた犯罪だという趣旨のことを
述べていたのですが、ああ、なるほどそうだろうなぁと思いました。

確かに扁桃体が過剰に働いてパニック状態になるというのは有ると思いますが、
それ以前に不正などを明るみにしたくない、お金で収まるならそれで解決してしまいたい
といった江原さんのことばでいうなら物質主義的価値観がその根底にあるように思います。

ためしてガッテンでも振り込め詐欺の対処法として、自己破産してもいいんだというような
ある種の開きなおりを提示していましたが、 はじめからそのような気持ちをもっていれば、そもそもパニック状態に陥ることもないわけで 、こういった類の犯罪は確かに世相を反映しているといえるのかもしれません。

アーモンドの花の写真からあれこれと話が発展してしまいましたが、
アーモンドに関してはあと一つ書いておきたいことがあるので次回かくことにします。


参考:
NHKためしてガッテン
初公開! 脳力が決め手・オレオレ詐欺最新対策
http://www3.nhk.or.jp/gatten/archive/2006q2/20060517.html
一触即発!夫婦ゲンカ 怒りの心理学
http://www3.nhk.or.jp/gatten/archive/2007q4/20071107.html

『人間の絆』 江原啓之 小学館 2007

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