2008年7月26日土曜日

吐く息

先日のNHK解体新ショーという番組で

「運動で息切れしない方法ってあるの?」

というテーマをやっていました。
人間が運動をしていて息苦しくなるのは、
酸素が足りなくなるからではなく、二酸化炭素が増加することが原因だそうです。

実験の中で、苦しくなったときでも確かに呼気の中にはまだ酸素が十分に含まれていました。

マラソン選手が普通の人と違うのは、
ろっ骨の筋肉が運動と連動して肺の中の空気をうまく換気し、二酸化炭素をうまく輩出しているからだそうです。

その中で、シンクロナイズドスイミングのコーチをしている先生がでてきたのですが、水中で息を長続きさせるには、単に空気をいっぱい吸ってから潜るのではなく、潜る前に息を完全に吐き切る、いっぱい吸い込むという深呼吸を三回ほどすることだそうです。

そうすることによって、普段は喚起されずに肺の中にたまっている二酸化炭素が完全に吐き出され、酸素濃度の高い空気で肺を満たしてから潜れるので息が長く続くのだそうです。

ゲストの人たちも試してみていましたが、その三回の深呼吸後は普段の1.5倍ぐらい長く息を止めていることができるようになっていました。

こう見てくると、日常の生活の中でこのように完全に息を吐ききるという深呼吸をするのはもしかしたら結構大切なのかもしれないと思います。

最近読んだ

『〈気〉と呼吸法』鎌田茂雄著 帯津良一著 春秋社 1999

という本の中には、気功でも武術でも瞑想でも、吐く息を意識することの大切さが共通項になっているということが述べられていました。

本の中で、身体を視野に入れたユニークな教育学で一時話題を集めた斎藤孝氏の研究発表の話題があったのですが、
彼は、呼吸をするときに「今息を吐いてるぞ」と吐く息に意識をやると気持ちが落ち着き、逆に「今息を吸ってるぞ」と吸うことに意識をおくと興奮してくるということを発表していたそうです。

確かに瞑想においても、 初めのうちは吐く息に意識を合わせることを指導しているものが多いように思います。 マントラ(真言)や聖音、念仏を唱えるというのもその流れなのでしょうね。

他には、密教的な身体観から、身体の左右には太陽と月という陰陽があると考えられていて、右の鼻孔から吸って左の鼻孔からだすと活気がでてきて、逆に左の鼻孔から吸い右からだすとリラッスクしてくると言われますが、実際にやってみると確かにその通りだと感じます。

体操などをやっている人は、動きのなかで吐く息、特に息を完全に吐ききるという意識をもってやってみるのはいかがでしょうか。
私がチベット体操をする時は、完全に吐くこととともに、肛門の筋肉を締めることを意識しています。これをやると体に元気がみなぎってくるように感じます。

お試しあれ。

参考:
NHK解体新ショー
http://www.nhk.or.jp/kaitai/archive/p_archive_20080718.html

『〈気〉と呼吸法』
鎌田茂雄著 帯津良一著 春秋社 1999

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