2009年4月11日土曜日

日本人の顔は変わる



突然ですが、皆さんウインクできるでしょうか。

NHK教育で『知るを楽しむ』という番組をやっていて、たまに興味の惹く内容があると見ることにしているのですが、この番組で
2月3月 にわたって、

「顔」ってなんだろう?

というタイトルで日本人の顔についての連続講義をしていました。


それによると日本人には、大まかに縄文顔弥生顔とに分けられるそうです。




縄文顔はもともと日本列島に住んでいた縄文人に由来する系統で、弥生顔は弥生時代に大陸から渡ってきた人たちに由来し、現在の日本人はおおよそ、

縄文顔:弥生顔=3:7

なのだそうです。
しかし厳密にこのように区別できるわけではなく、色々なパーツがだいたい3:7ぐらいの割合で混ざり合っているそうです。


冒頭に述べたウインクですが、実は弥生顔の系統の人は、ウインクが出来ないのだそうです。これにはびっくりしました。

番組内で街角の人にウインクをしてもらうと、7割方ができなくて、ウインクをしようとすると両目をつぶってしまうのです。

これは訓練などではなく、遺伝によるもので、大陸から来た人たちは、寒さに対応できるように、神経系統が両目を一緒につぶるように変化したそうです。

私は自分がウインクができるので、てっきり誰でもできると思っていたので本当に驚きでした。私の顔はおそらく縄文顔の系統だと思います。


少し余談になりますが、私の顔は民俗でいうとネパールの人の顔に近いみたいです。インドのダージリンに行くと、結構ネパールの人が多いのですが、会う人、会う人から、

「同じかおー」

って感じで感激されて、握手を求められたりするのです。

インド人からも、あなたの顔は日本人とは違いますねといわれることがあり、またいきなり、「ネパーリ」(ネパール人)とか言われることも一度や二度ではありませんでした。

インドでは麦わら帽子をかぶって貧しいカッコをしていたことも関係あるかもしれませんが、、。結構楽しい体験でした。


さて本題に戻って、私はテレビなどでたとえば80年代の番組などが映ったりすると、明らかに映っている人たちの顔つきが違うな、と感じる事があります。

確かに、ヘアースタイルや服装が違うのは当然なのですが、なぜか顔つきだけで現在の人ではないなとわかるのです。

また何かの番組で、100年前の日本人の写真というのを見たのですが、えっ、どこの国の人たち!?って感じで、日本人の顔つきが全然違うのです。


今回の番組では、日本人の顔が変わってきた一番の理由に挙げられていたのが、食生活でした。昔の人は硬いものを食べていたので、顎がしっかりしていたそうです。











番組内では面白い比較をしていました。それは徳川家康と12代目の徳川家慶の顔の比較でした。




家康は顎がしっかりしていていかにも武将を束ねる大親分という感じの顔ですが、250年後の家慶になるとウラナリくんといった感じてどこか神経質そうな顔になってます。





これは遺伝ではなく食べ物の違いによるものだそうです。小さいころから柔らかいものばかり食べていると、顎やあごの筋肉が発達せずにあごが小さいままのいわゆる殿様顔になるのだそうです。

江戸時代の庶民と殿様の頭蓋骨を比較してみても一目瞭然です。



庶民の方は、顎ががっしりしていて歯並びもきれいなのですが、殿様の方は顎が小さく、そのため歯が顎の中に収まりきらなくて出っ歯になっており、顎の筋肉も細いので、顔全体が細くなります。

江戸の一般庶民は玄米をはじめとする硬いものを食べていたそうですが、殿様は柔らかいものが多かったのでこのような違いになったそうです。



しかし江戸時代よりさらに、縄文人の方が硬いものを食べていたようで、江戸時代の人でも親知らずが生えなかったり、変な向きに生えたりしているのに対して、

縄文人はすべて親知らずが生え揃っていてしかもちゃんと使い込こまれて摩耗しているのだそうです。すごいですね。




しかし縄文人の歯の素晴らしさに感心ばかりしていられない事に、現代人の多くは江戸の殿様と同じような食事をしているため、そうとうな弊害がでてきているようです。

その一つが乱ぐい歯といわれる下のような歯の人が増えてきているそうです。

(画像をクリックすると全体が映ります)

この40%という数字にはびっくりしました。

他の症状としては、




などがあるそうです。

顎関節症:顎が外れやすくなる症状
睡眠時無呼吸症:寝ている間に呼吸をしていない時間帯がでる症状でひどいと死につながる

しかしこれらも予防が可能で、それは、




ということに尽きるようです。

しかしこのままの食生活を続けていくと、日本人の顔はどのようにかわっていくのでしょうか。
番組内ではそれをシミュレートしたものをやっていました。




これが現代日本人の平均的な顔だそうです。それが百年たつと、、、




こんな感じになるそうです。(今でもこんな感じのひとがいそうですが、、、)





脳の容量は変わらないので、だいたい顎が細くなって面長になるようですね。



(日本人の顔の変遷)




私は日本人の顔の変遷の理由として、もうひとつあると思います。それはその時代においてどういう顔を理想とするかという点です。

番組内でも言っていたのですが、弥生から江戸までのいい顔というのは残されている絵などを見ると、みな弥生顔だそうです。

それは、農耕の技術などを携えて大陸から来た弥生顔の人たちは土着の縄文人たちを抑えて支配者、為政者になることが多かったからで、これは江戸までその傾向が続いたそうです。

逆に縄文顔というと、たとえば蝦夷の征伐などにもあるように、どちらかというと野蛮人の範疇に入っていたそうであまり好まれる顔ではなかったようです。

しかし日本の開国以来、西洋文明に圧倒された日本人は、今度は西洋的な顔、どちらかというと縄文顔が好ましい顔であるというふうに変わったのだそうです。


大きな流れではそうだと思いますが、私はそれだけでなく、その時代の理想とする顔というのは、たとえばその時代の流行歌手や俳優、タレント、はたまたテレビアニメの主人公などによっても特徴づけられるのではないかという気がします。

そういう観点からすると、80年代のひとの顔つきが何か今の人と違うな、と感じるのもガッテンがいくような気がするのです。

街中に出ると、若者の多くがみなタレントの誰かに似せようと頑張っているなと感じることが多く、そのためかみな同じような顔にみえてしまことが多いように思います。

そういう意味では、マスメディアの威力というのは絶大だと思うと同時に、ソフトの方のアニメなどもその時代の人に与える影響は甚大であると感じます。

たとえばいまのロボット研究をしているひとのほとんどは、小さいころ見た鉄腕アトムや鉄人28号を自分も作りたいというところから現在の研究にいたり、それが時代をつくっているのです。

顔に限らず、その時代の多くの人たちが共鳴したものというのは、社会を形成していく原動力になっているということを考えると、たかがテレビだ、ドラマだ、アニメだなどと馬鹿に出来なくて、

そういうソフトこそが現実を作っているのであり、したがって時代を特徴づけるソフトに注意しておくことで、もしかしたら未来社会をある程度予想できるのかもしれない、、、などと思うのであります。。


おしまい。


参考:

知るを楽しむ:「顔」ってなんだろう?
http://www.nhk.or.jp/shiruraku/old2/200902/monday.html

http://www.nhk.or.jp/shiruraku/old2/200903/monday.html

















2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

はじめまして、ろみと申します。

昨日、〈あなたは、縄文顔?弥生顔?〉というチェックテストをやっていまして、私自身は、乾き耳というポイント以外はほぼ縄文顔との判定がでたのですが、「弥生人はウインクができない」というのがなぜなのか気になって仕方がなくて、暇さえあれば検索してました。貴ブログのこの記事が一番わかりやすく説明されていて、スッキリしました!ありがとうございます。

『顔』のことはずっと前から気になってまして、日本初の[顔]マガジンと銘うった雑誌(確か東大の?研究所監修だったような…)も買ったことがあって、キャプチャーされてる写真のいくつかはその雑誌に使われていたものと共通しているようでした。ウインクの件もとりあげてあったのかもしれませんが、何しろ10年以上前に買ったものなので記憶がなく。雑誌はその後2号が発売されることはなくがっかりしていました。

それにしても、自分がいつまでたっても顔のことを気にしてるんだな、と笑ってしまいました。ずいぶん前の記事への反応ですみません。

最新の若冲の記事も読ませていただきました、今度平日に休みをとっていく予定なのですが、相当の覚悟が必要のようですね〜、水分等万全の準備をしていきたいと思います。事前に様子がわかって大変参考になりました。あらためてありがとうございました。

彦兵衛 さんのコメント...

ろみ様

コメント有り難うございます。

久しぶりに自分の記事を読んで、おー、こんなこと書いてたんだ、、と認識を新たにしました。

若冲展、終盤に入ってかなり混んできているようです。

観に行って「これがあったらなー、、」と思ったのはオペラグラスです。

人が多すぎて近くで見るのは困難なので、2、3列後ろから、オペラグラスで狙うと、細部がよく観れてもっと楽しめたんじゃないか、、などと思いました。

自分はまずその為に、オペラグラス買わないと、、ですがね。

お土産で、ゾウなどが入ったデジタルっぽい絵(屏風)のA4のクリアファイルを買おうと思ったのですが、
入荷待ち、、などと書いてあり、入荷されても、いつ買いに来るだー、、などと一人突っ込みしてました(笑)

フロアの一階、美術館全体の売店で、少し種類は違いますが、そのタイプのクリアファイルがあったので
とりあえず買っておきましたが。。

余談でした。

どうぞ若冲、楽しんできてください!