2009年3月20日金曜日

ポアンカレ予想からフラクタル図形へ





まず一つ目私が感心したことは、素数を求めるためのエラトステネスの方法というのがあるということでした。

本文では、博士が教えてくれたが複雑だったために忘れてしまったとありましたが、実際調べてみるとごくふつうのやり方でした。


たとえば、100までの素数を見つけるためには、100までの数字を列挙して、

2の倍数、3の倍数と5の倍数と7の倍数と小さい素数の倍数から消去していくと、あとには100までの素数が虫食い状に残るという方法です。

これは100=10×10より、10までにある素数(2,3,5,7)でやれば十分です。なぜなら10より大きい約数をもっていたら、もう一方の約数は10より小さいからです。(たとえば20×5のように)

この方法はたとえば101が素数がどうかを調べるときに誰でもやっている方法です。

まず偶数ではないから2では割れない、1+0+1=2で3の倍数でない(3の倍数は各位の和が3の倍数になるという性質があります)、5でも、7でも11でも割り切れないから、これは素数であることが分かります。

この方法はエラトステネスの篩(フルイ)と呼ばれているそうです。知らなかったなぁ。


あと関心したのは、2以外の素数は 4n+1 と 4n-1 のどちらかに分類され、4n+1の方は必ず2つの自然数の二乗の和で示せるが、4n-1の方は決してそうならないということでした。

たとえば

61=4×15+1=5×5 + 6×6、


101=4×25+1=1×1+10×10


など。
ウィキペディアで素数の項目を見ていたら、100までの素数の覚え方というのがありました。なんか面白かったので参考までに挙げておきます。


---------------------------


兄さん(2、3) 5時に(5) セブンイレブン(7、11) 父さん(13) いいなと(17) ついていく(19) 兄さん(23) 買った肉を(29) 裂いて(31) みんなで食べたら(37) 41円しか(41) 予算がない(43) しなった顔で(47) ごみ拾い(53) ゴクっとのんで(59) 六井さんが(61) むなしく(67) 泣いた(71) ナミが(73) 泣く泣く(79) 破産した(83) 白紙に戻した(89) 宮内庁(97)

---------------------------



『博士の愛した数式』の中で、

eπi+ 1 = 0


という式がでてきて、ストーリーの展開のカギとなっているのですが、最後までこれについての説明はなされず、なんとなくすっきりしない感じがしました。

これはあるひとに言わせると、愛がいっぱいの公式(iがe、π)だそうですが、正式にはオイラーの公式といわれるものです。

これは数学ででてくる自然対数e(2.718,,,)と虚数iと円周率π、それに数字の基礎である1と0が組み合わされた、もっとも美しい式であるといわれます。

このもとは、


という式で、このθにπ(ラジアン)を代入したときに出てくる式なのです。この式は、指数と三角関数が虚数を介してつながるという画期的な式だそうです。

これは指数、三角関数をテイラー展開したときにでてくる式に関して、オイラーがつながることを発見したためにそう名付けられているそうです。

複素平面を勉強したひとはすぐにわかるのですが、右辺は複素数の極形式で、絶対値が1の複素数の円上の点であることがわかります。


すこし脱線になりますが、この複素数平面にでてくるのがかの有名なマンデルブロ集合で、フラクタル図形の代表格です。


これは、Y=X^2+γにおいて、γを色々な値に動かしてみた時に、X=0から始めた値が発散してしまわない点の集合なのですが、

専門的なことは置いておくとして、この図形の面白いところは、部分を拡大していくと、さらに内部構造があって、また全体と同じような図形がでてくるのです。





自然も部分の中に全体がある、たとえば一つの細胞の中に人間全体の設計図があり、葉脈の形と河川のかたちが似ていたりと、自然の中のものは実はフラクタル構造になっているのです。

数学も科学の性質のご多分にもれずやはり専門・分化していくものなのですが、このフラクタルの発見により、数学の他の分野の人たち、あるいは数学と他の専門の人たちがつながるという現象が起こってきたそうで、これは自然を手本にすることを説いたガウディのいう総合ともつながってくるように思います。

医学の方面ではこのフラクタルをガンの検診に役立てているそうです。ガンはフラクタル次数が高いので、細胞の中のフラクタル次数が高いものを色分けするとガンが発見しやすくなるそうです。


話がだいぶそれましたが、この『博士の愛した数式』の著者小川洋子さんの本を調べていたら、私の敬愛する河合隼雄さんとの対談本がありました。

小川洋子〔著〕 河合隼雄〔著〕
『生きるとは、自分の物語をつくること 』
新潮社 2008


書評を見てみると、なんと河合隼雄さんが倒れられる直前に実現した奇跡のような対談だったそうで、この本の中に、河合隼雄さん最晩年のことばがつまっているのだなぁと思いました。

他には『博士の愛した数式』を作る前にインタビューした数学者の藤原正彦さんとの対談本もでているようなので、こちらもぜひ読んでみようかなと思っています。

藤原正彦著 小川洋子著
『世にも美しい数学入門』
筑摩書房 2005



知の世界も自然界と同じで情報が有機的にリンクしているので、調べだしたら止まりませんね。

また新しい発見があったらここに書こうと思っています。


おしまい。


参考:
ここのマンデルブロ集合の動画もなかなかです↓
http://eyevio.jp/movie/232045

0 件のコメント: