2008年10月7日火曜日

腰痛

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先日NHKスペシャルで

「病の起源 第3集 腰痛 ~それは二足歩行の宿命か?~ 」
という内容をやっていました。

タイトルにあるように、「腰痛は二足歩行を始めた人間にとっての宿命」という言われ方がされますが実はそうではないというのが今回の結論でした。
その証拠として挙げられていたのが、一日に狩りで20キロ以上も歩くアフリカの原住民でした。彼らに腰痛を経験したことがあるかと聞いたところ、あると答えた人が8割ぐらい!?しかしそれらは、蜂蜜をとるのに木に登っていて落ちたとか、どこかにぶつけたとかで、ぎっくり腰のように急に痛みがくるなんてことはないとのことでした。逆に彼らの方から「急に腰が痛くなるなんてどこか病気なんじゃないの」と言われていたことが可笑しかったです。

ぎっくり腰は、背骨と背骨の間の軟骨がずれ神経を圧迫することによって発生する痛みですが、アスリートの背骨の断面写真を見ると、ふつうの人よりしっかりした軟骨でした。つまり適度な運動によって新陳代謝が活性化され軟骨は強く維持されるのです。番組内でも、ウォーキングが推奨されていました。

しかし驚いたのは、腰にかかる加重です。体重73キロのひとが普通にまっすぐ立っているときに軟骨にかかる重量は66キロでしたが、前屈しただけでなんと235キロもの加重がかかるのです。これは静止しているときの数値であって、この姿勢でさらに動くとしたらさらにこの何倍かの力がかかることになるのです。いかに物を持ち上げたり、作業をしたりするときの姿勢が大事かということです。

かくいう私もかつて京都で旅館のアルバイトをしていた時は、10段も積んだ御膳を運んだり、布団の上げ下ろしなどの作業をしているなかで、腰痛とまではいかなくても、腰に違和感を覚えるようになりました。

ちょうどその時やはりNHKのある番組で、引っ越し作業員の腰痛をなくすには、腰に負担がかからないように腰を入れてものを持ち上げることに注意するとともに、腹筋と背筋を鍛えることだということをやっていました。これを見た私は、極力中腰での作業はしない物を持ち上げ、降ろす時に腰を入れて行う腹筋背筋の筋トレを実践したところ、腰の違和感から解放されました。ということで腰が痛いという人にはよくこれらの点をアドバイスします。ちゃんとやっている人は、腰痛がなくなっているようです。

前に挙げた健康オタクの水道橋博士の本にも腰痛克服のコラムが載っていて、まさに私の考えと同じものでした。

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俺の持病で、最も長く深刻なのは、椎間板ヘルニアだ。今でこそ、たけし軍団の中でも体を張った仕事をしていない〝ホワイトカラー〟として、腰ぬけ、腰砕け野郎、と非難されることも多い俺だが・・・。<中略>

その後、腰は悪化の一途を辿り、13年前、正式に椎間板ヘルニアと診断され、ドクターストップ。<中略>

以後も年に何回かは、歩行不可能になる事態が続き、椅子に座ったまま、漫才の舞台をつとめた時などは、水道橋博士ならぬホーキング博士講演会の様相であった。<中略>

そこで鍼やお灸、カイロなど様々な民間療法巡りの末、俺が最終的に辿りついたのは、最も単純かつ原始的な腹筋と背筋の強化だったのだ。

イメージとしては、脊椎を割り箸であると考えたら、俺の脊椎は、一度、横に折れた割り箸であり、その折れた先のささくれだった所が、横にはみ出て神経を刺激している状態なのだ。そこで折れた個所を筋肉というゴムテープでぐるぐる巻きにして、二度と折れないよう強化し、ささくれも横にはみ出さないよう、筋肉の圧力で元の状態に収めている。しかし、このゴム=筋肉がゆるんでくると、再び、ささくれ部分が、横にはみ出て神経を圧迫し痛みが出てくる。

この状態をイメージし、腹筋、背筋だけは怠らず、文字通りの粘り腰で続け、もう既に5年以上、深刻な腰痛は回避しているのだから、この方法は功を奏しているようだ。
多くの人が同病相哀れむ国民病の腰痛だが、長く腰を据えた対処をすることが、まさに肝心〝要〟なのだろう。
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このように水道橋博士もホーキング博士状態になることなく筋力アップによる腰痛克服を告白しています。私も毎日欠かさず腹筋と背筋はしていますが、バランス的には腹筋より背筋の方を多めにやる方が体にはいいそうです。

これを知ったのは、バレーダンサーの草刈民代さんの本、『全身「からだ革命」』 講談社 2006 を読んだことによってでした。

この本は自分のガタガタになった体が、ヒーラーの木津龍馬氏のヒーリングや食事の指導、その他の運動療法などによってどのように回復していったかを綴った本ですが、その中で著者が実践したピラティスとともにPNFという運動が紹介されていました。

PNFというのは1940年代にアメリカで誕生したリハビリのための運動だそうですが、PNFの理論によると腹筋と背筋の筋力比は「1:1.2~1.5」らしいです。考えてみると、体の屈曲は前には180度ぐらい曲がりますが後ろにはよくて90度でしょう。つまり人間の体は前により倒れやすくなっている分、それを支える背筋が強くなくてはならないのです。これを知って以降、私は背筋の回数を腹筋より1.5倍くらい多めにしています。(単に回数を増やせば筋力が増すのかは分かりませんが、、、)

だいぶNHKスペシャルの話からそれましたが、放送によると実は腰痛の85%の原因は分かっていないそうでこれには驚きました。だから鍼や灸がもてはやされるのでしょう。特に最近注目されているのが心因性の腰痛で、心的ストレスが腰痛を引き起こす原因になっているそうです。番組内で取り上げられていたのが原因不明の腰痛に悩まされていた作家で、一年間執筆をやめることで腰痛がなくなったそうです。また単純作業でもそこに心理的なストレスが加わると、腰にかかる負担が大きくなるという実験をしていました。

心因性の腰痛というのはもしかしたら“”の流れ、あるいは停滞が関係しているのかもしれません。だから鍼灸が腰痛に効くとも考えられます。これなども前にブログで書いた、ここぞというときに力まないで息を吐くことを実践していれば、気のエネルギーを体の内、特に腰にため込むことなく済むのかなという気がします。

人間の体は複雑だなと思うとともに、とてもよくできていると思います。なにせ何億年もかけて改良を重ねてきたのだから、ほぼ完成形と考えてよいのではないでしょうか。それゆえ、結構日常の簡単な心掛け次第で健康を維持できるものでもあると私は思うのです。

参考:
NHKスペシャル「病の起源 第3集 腰痛 ~それは二足歩行の宿命か?~ 」http://www.nhk.or.jp/special/onair/081005.html

水道橋博士『博士の異常な健康』アスペクト 2006

草刈民代『全身「からだ革命」』講談社 2006

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