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前回とほぼ似た内容になりますが、肉食と菜食の違いをシュタイナーは次のように述べています。
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アジアの住民の一部は厳格な菜食主義です。彼らは温和な人々で、ほとんど戦争をしません。中近東の人々は肉を食べます。彼らはよく戦争をします。肉食をしないアジアの民族は、植物素材を肉に変えるために自分の力をつかっているのです。そのために、彼らは温和なのです。肉食をする民族は温和ではありません。
人々は次第にこのような考えに到達します。ただ、肉を食べる人は、このような考えにいたることができません。
<中略>
菜食には大きな価値があります。菜食にすれば、かんたんに疲れることはなくなります。尿酸塩が分泌されないので、疲れなくなるのです。疲れなくなると同時に、頭に尿酸塩が留まっていないので、ものをよく考えることができるようになります。肉食をしている人が使用しない力を、菜食をする人は使うのです。ただ、そもそも思考しない人は、菜食にしたからといって、どうなるものでもありません。
(p.116-117)
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菜食にすると疲れなくなるという記述ですが、私はこれを読んだときあるエピソードを思い出しました。
それは明治期に、お雇い外国人としてきたある教授が、人力車の人夫を見て肉を食べないのにどうしてそんなに走れるのか疑問を抱き、ある実験をしたのです。
一方には牛肉を、もう一方にはいつも通りの握り飯を食べさせどちらが先にへばるか比べてみたのです。結果、牛肉を食べた方はすぐにへばって動けなくなってしまったものの、いつも通りの握り飯を食べていた方は、翌日まで走り続けたそうです。
これは普段食べなれない牛肉を食べたということもあって単純に比較はできませんが、肉を食べるとパワーが出るというのはある種の信仰だと思います。一流のアスリートでタンパク質を植物性のものからとるようにしている選手もいるぐらいなので、自分で食事を変えて確かめてみるのが一番かと思います。
ただ心がパワフルになること、体がパワフルになることは違うのでそこら辺をよく見極めないといといけないと思います。
シュタイナーの図式でいうと以下のようになります。
肉食=心:勇敢、戦闘的になる、体:疲れやすくなる
菜食=心:穏やか、明晰になる、体:疲れにくくなる
また菜食にすると暑さに対する感覚も変わってきます。前にこのブログでも取り上げたように(バラモンの菜食主義 2)、菜食をしていると暑さをあまり感じなくなります。従って菜食の人は夏にその真価を発揮するように思います。
参考:
ルドルフ・シュタイナー/西川隆範 訳 『シュタイナー 健康と食事』 イザラ書房 1992
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