最後に食事に関して取り上げようと思います。
戦後、食が一気に西洋化したのには二つの要因があったようです。
一つはアメリカが官民一体となって、日本を自国の畜農産物の市場にしようと戦略的に働きかけたことによるものです。
この戦略はみごとに功を奏し、日本の食は西洋化しました。
もう一つは、日本人自身に原因があったようです。
すなわち、戦争に負けたのは日本人が米やみそ汁、野菜ばかりを食べていたからで、
アメリカのように強くなるためには肉を食べ、牛乳を飲まなければならないと感じたからのようです。 この思いは相当強かったようです。
それでは日本人の脳にあった食事とはどんなものなのでしょうか。
一言で言うと、伝統的な和食だそうです。
具体的に挙げられているのは、
タケノコ、お米、豆類、魚、野菜、海藻、、など。
あまり良くないものとしては、
ジャンクフード、塩分の取り過ぎ、だそうです↓
なぜ日本人には和食がいいのでしょうか。
それはとても単純で、何千年も日本人はそのような食事をとってきたためだといえるでしょう。
生物世界に共進化というものがあります。
たとえば、ある蘭はあるハチドリしか蜜が取れないようなお互いの形状を進化させている例があります。
これは極端なケースですが、日本人は日本の土地で取れたもので体を養うように何千年、何万年の間、慣れ親しんできたため、
環境との間でいわば共進化のような関係にあると思われます。
それをたかだか数十年で、食事の量や質を急激に変えたら、体になんらかの支障が起きるのは当然だといえます。
食べ物には単に栄養をとる以上の意味があるので、西洋食(パン・肉・乳製品)を完全にやめるというのは極端に走り過ぎているようにも感じます。
しかし少なくとも、牛乳や肉を食べると元気になり、体にいいというイメージは、今一度再検討してみる必要があるように思います。
私は肉はほぼ完全に食べなくなりましたが、肉を食べなくなってはじめて、肉を焼く時に出るにおいの不快さに気づくようになりました。
それはちょうどタバコの匂いが漂ってきたときに、うっと一瞬息をつめるのに似ています。
これは用を足した後トイレから出てはじめて、自分が今までにいたトイレの中の匂いを認識できるのと似ているかと思います。
あともう一つ気づくようになったことがあります。それは街並みに関してです。
どうして町中に、周りの景色とはそぐわない高層建築や電波塔などを平気で建てられるのかということです。
肉食をすると攻撃性や性欲が高まると言われますが、町中にどっかん、どっかんと、とんでもなく高い建物を周りとの調和も気にならずに建てられるというのも、
おそらく肉食と関係があるように感じるようになりました。
フロイトは夢に出てくる尖塔などは男性器の象徴だということを述べていますが、高層建築を建てたいという根底にある思いは、フロイトの述べているところとそう違わないと思います。
かつて日本人で洋画を学びにヨーロッパに行った人が、自分が油絵をかけないのは肉を食べないからだということに気づいて、たくさん肉を食べるようにしたという話しをどこかで聞いたことがありますが、
おそらく油絵のようなギトギトしたものも、肉食をして初めてなせる技なのだと思います。
そういう目で日本の絵、たとえばここでもとりあげた浮世絵など見てみると、実にサラっとしているなぁと感じます。
食って単に栄養だけにとどまらず、人の考えや行動にまで影響を及ぼすものなので、そうとう真剣に考える必要があるテーマだと思います。。。
さて、最後に食事から離れて、脳にいいことがふたつ挙げられていました。
一つは、笑うこと。
笑うことによって、セロトニンが大量に分泌され、幸福感に満たされ、気分が落ち込まず、健康にもいいそうです。
これは前に取り上げた元気が出る、出る!の中でも指摘されていました。
江原さんは、鏡を見て笑うようにするといいとおっしゃっていましたが、脳科学の立場からしてもいいのでしょうね。
笑いの効用に関しては、村上和雄さんが笑う事によって健康の遺伝子のスイッチがオンになるとおっしゃっていることとも通じます。
二つ目は、「好きこそものの上手なれ」、すなわち自分の好きなこと、楽しいと感じることをやることだそうです↓
脳科学の立場からでも、教育学、心理学、生物学、栄養学、スピリチュアルなどの立場からでも、皆さんおっしゃっていることは同じだなと感じます。
知は力なり
ということばがありますが、それぞれの専門の立場から述べられる最新の知識には、常に傾聴に値するものがあると思います。
それらのことばによく耳を澄まし、習慣に流されがちな自らの考えを常にチェックすることって大切だなぁと、私は感じます。
そういう意味で、今回この本はとてもいい刺激になり、ためになりました。何より読んでいてとてもおもしろかったです。
やはり自分が興味のあること、楽しいと感じることに関しては、何かしら人に発信してみるものですね。
紹介して頂いた「仮のハカセ」さんには、ホント感謝、感謝であります。
m(_ _)m 有難うございました。
おしまい。
参考:
澤口俊之〔ウィキペディア〕
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%BE%A4%E5%8F%A3%E4%BF%8A%E4%B9%8B
〔アマゾン〕
澤口俊之著 南伸坊著 『平然と車内で化粧する脳』 扶桑社 2000
澤口俊之氏のその他の著書
村上和雄さんの本
0 件のコメント:
コメントを投稿