2009年9月10日木曜日

ホッケから考える人間の活動



先日のNHK「ワンダー・ワンダー」で面白いものをやっていました。

それは食べて美味しい、あのホッケ(𩸽)についてです。



北の海 驚異のホツケ柱


この魚は北海道などの北の海でとれるものだそうですが、

年に何回かホッケが群れをなしたホッケ柱なるものを見る事が出来るというのです。




昔はよく見られたそうですが、近年その目撃例は激減しているそうです。

それではその滅多にお目にかかれないというホッケ柱とはいかなるものなのでしょうか。


そもそもホッケは普段、海底200-300mのところに棲んでいるのだそうです。




だから水族館などでも、少し泳ぐと海底に腹をつけて一休み。。。




しかしこれが春の桜が咲く頃になると、

海面に大量発生したプランクトンを食べに、一斉に上昇してくるのだそうです。 (ホッケを魚偏に花と書くのはそのためらしいです。)




その上昇してきたホッケの大群がある一点に集合すると、ホッケ柱というものを生じるのです。

そして驚くべき事に、この柱の真ん中にはが巻いていて、海面のプランクトンがその渦に吸い込まれてホッケのいる下の方にどんどん流れ込んでいくのです。


ホッケのつくったによって海面の藻が竜巻状引き込まれている


それではなぜホッケ柱が巻くのでしょうか。

先ほど紹介したように、ホッケは普段海底に棲んでいます。そのため普通の魚のように浮き袋がないのだそうです。





これは普通の魚にある浮き袋↓




そのため普通の魚は、海中を上下するのに浮き袋で浮力を調整すればいいだけなのですが、




ホッケは海面に上昇するには、常に沈む体を上昇させるために泳ぎ続けなければならないのです。




大量のホッケが一斉に上昇し、ある一定のところで留まっている状態は、ちょうどヘリコプターのホバリングと同じ状態にあるのだそうです。









水を下に蹴る力が下降する水流を作り、




それに潮の流れなどの海面の揺らぎが加わって、ができるのだそうです。




この発生した渦によってプランクトンが下に流れ、群れ全体に食料がいきわたるとともに、

ホッケ自身もそれぞれが海面近くにいる必要が無いので、カモメなどに襲われる危険がなくなるというのです。

これは体の重いホッケだからなし得る技で、自然に生まれた狩りの方法なのでしょうが、見事としか言いようがありません。


先ほどのヘリコプターの説明をしていた先生は次のように言っていました。

一匹、一匹の非力なホッケも、協力し合えばとても楽に生活が出来る様子は、人間が集まって都市をつくっていのと似ている、と。




ホッケ柱のことを、この先生は、ホッケの都市と言っていました。





ホッケの捕食行動は見事としか言いようがありませんが、

先生がホッケの行動は人間に似ていると言った時、私の頭の中では色々なものがつながるのを感じました。


その一つは、前に挙げた集団同調性バイアスについてです。

人間もつい周りと同じ行動をとってしまいがちであり、そこから得られるメリットというものも当然ありますが、それは安全とは別だということです。

人間が集まって都市を形成すると次第に人口密度が高くなっていきますが、

都市における凶悪犯罪が起こるのは、この人口密度にあるのではないかという人がいます。

生物界には相変異
と呼ばれるものがあります。

このもっともよく知られている例が、アフリカなどで大量発生するイナゴです。

イナゴは数が少ないときは普通のバッタなのですが、

ある一定以上の密度になってくると、体色が変わり、長距離を飛べるような体に変異して、作物を食い荒らすようになるのです。

人口密度の高まった都市に凶悪な犯罪が多発するのは、

この相変異と同じようなメカニズムが人間にも起こっているからではないかという説があります。


また都市に人が集中することの危険で思いつくのは、災害についてです。

先日NHKスペシャルで、「首都直下地震 見逃された危機」というのをやっていました。


NHKスペシャル:首都直下地震 見逃された危機



いま東京に直下型の大地震が起きたらどうなるかをシミュレートしたものでした。

危険な要素はいくつもありましたが、まずはビルの高層階における揺れの大きさです。

高層ビルは地震によって倒壊しないようにしなやかな構造をしているそうですが、そのために高層階での揺れは想像を絶する大きさになるのだそうです。

また大量の帰宅困難者がでること、そして日本経済が停止することなどが指摘されていました。


また、現在東京へ会社の本社を置く企業がますます増え、東京への一極集中がより一層進んでいるそうです。

しかしそれに対して、災害という観点からの対策はほとんど進んでいないようです。

外国では、企業の本社が使えなくなっても、すぐに別のオフィスで業務を再開できるようにするのがいまや常識だそうです。

これはBCP(Business Continuity Plan )と呼ばれ、災害が起きても業務を継続できるシステムのことで、アメリカの企業の9割はこの対策が進んでいるそうです。

たとえば、9.11のテロでオフィスを使えなくなったある地銀は、テロの2時間後に代替のオフィスですでに業務を再開していたのだそうです。

しかし日本の企業のBCPへの取り組みは、検討中も含めてやっと3割なのだそうです。


みんなが集まっているから便利で、なんとなく安心できるというのは、とても危険な気がします。

ホッケも集団で柱をつくり、渦によってプランクトンをとるという画期的な食糧獲得法を身につけましたが、

実はこのホッケ柱こそ、漁師にとっての格好の標的で、そこをめがけて網で一網打尽に掬いあげられてしまうのです。


長らく首都直下型の地震の危険が叫ばれていながら、どうして企業の多くはあえて東京に本社を置き、

行政もどうして首都機能を移転させようとしてないのか、とても不思議でなりません。


ホッケがプランクトンをとるのに渦を巻くように、東京という都市も実はを基本として設計されているのです。

これは江戸時代の僧侶天海が、江戸が発展、拡大することを意図して風水的に設計したもので、

これによって東京は世界に例を見ない螺旋都市となっているのですが、

私は今回の番組でホッケ柱のを見たとき、東京という都市がもっている渦の形を思い出しました。

みんながいるから便利で安心というのは、ホッケのように一網打尽にされてしまう危険があるのではないか、

ホッケの泳ぎを見ながら、そんなことをつらつらと考えた一夜でありました。


おしまい



参考:

ワンダー・ワンダー:北の海 驚異のホツケ柱
http://www.nhk.or.jp/wonder/program/14/index.html

NHKスペシャル:首都直下地震 見逃された危機
http://www.nhk.or.jp/special/onair/090901.html


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