2009年10月2日金曜日

自閉症だった私へ ~その3~



前にここで『自閉症だったわたしへ』について書きましたが、この度やっとその続編にあたる、


こころという名の贈り物―続・自閉症だったわたしへ




ドナの結婚―自閉症だったわたしへ



の二冊を読み終えました。

彼女は自閉症の中でも、高機能自閉症と呼ばれる知的には全く問題のない、

あるいはある意味普通の人以上に知的な自閉症として分類されるのだそうです。


そのためちょっと変わった"ふつうの人"として見られがちで、

どうして"ふつう"に振る舞えないのかと、本人の症状を理解してもらえず、常に周囲との摩擦があり苦しんだそうです。



彼女は大学を卒業した後、ヨーロッパに渡り、自分と似た自閉症の様々な人々と会うのですが、

三巻目で、ついに彼女は結婚するのです。

そのお相手もやはり自閉症の人でした。

その二人のやりとりがとても面白いのですが、ここではそこらへんの事には立ち入らず、

三巻目にあったその相手の「」に関する記述を取り上げようと思います。



前に一巻目を紹介した時も、著者ドナ・ウィリアムズの食と心の関係についての描写を取り上げましたが、

彼女の結婚相手である「イアン」もやはり食を改善する事で心の安定を得られたことが書かれていました。







自閉症のひとは、後でも述べるように知覚過敏の人が多いそうです。

だからなのか、食に対するアレルギーも多く、不適切な食事をしたときには心が相当な影響を受けるようです。

ということは、鈍感な(?)私たち"ふつう"の人たちも、

あまり気付かないだけで

普段の食事によって心の状態が左右されている

と考えるのは、そう大きく的を外した推測ではないと思います。


このブログでは再三再四、食と心のありようの関係を様々な文献を挙げてとりあげてきましたが、

自分の自由意思で色々判断しているつもりでも、知らず知らずのうちに自分のしたくない選択をいつの間にかしていた、

せざるをえない状態になっていたということがあるのかもしれません。

食に関しては、毎日することだけあって、

美味しいかどうかだけでなく、自分に対する影響がどうなのかということを一度見直してみる事が肝要だろうと私は思います。


さて、自閉症に関しては知覚過敏があって、音や光が"ふつう"のひとではなんでもないものでも、

彼らにとっては、音や光の洪水となり、吐き気を催し、訳が分からなくなって酷い場合は意識を失うほどにもなるそうなのです。

本文では視覚に関して、

暗所過敏症症候群
(SSS:スコトピック・センシティヴ・シンドローム)


というものが紹介されていて、著者と夫のイアンもともにこの症状をもっていたのだそうです。





この症状も、検査の後に色つきメガネをつけることで、劇的に改善するそうです。

そのときの著者の描写がとても感動的でした。

と同時に、それ以前の自閉症の人たちが見ている裂した世界というものがどんなものなのかを少し垣間見れた気がしました。





何回か前に、視力に関してシリーズで書きましたが、

視力に関しては、このように単に眼の機能だけでなく、脳の視覚に対する認知の問題もあるんですね。

こんな色眼鏡をつけるだけでそれが改善するというのは、とても面白いなと思いました。


この三巻のシリーズを通して、著者のドナは絵を描いたり、自分で歌を作って歌ったりしている様子が描かれているのですが、

その彼女の絵と歌を同時に楽しめる動画がありました!







彼女は著作家であるとともに、いまや画家であり、ミュージシャンでもあり、最近は彫刻も作っているそうです。

これらの作品は彼女のHPでも見る事が出来ます。


http://www.donnawilliams.net/



自閉症の理解を世に広めた映画に、「レインマン」があるのですが、



この映画の中で、トム・クルーズが自閉症の兄であるダスティンホフマンをつれて精神科の先生に合う場面があります。

そこで、先生から彼は

オーティズム(autism)」


であると言われ、トム・クルーズが

「えっ?アーティスト(artist)?」


と聞き直している場面があるのですが、

まさに自閉症の人はその内面をうまく表現さえできれば、真のアーティストなんだなぁと感じました。



Flight 2" by Donna Williams




「ふつう」と違うひとたちを、単に型にはめて規格外として排除してしまったり、何かしらの病名をつけてとじこめてしまうのではなく、

なるべく先入観をなくして、彼らをあるがままに理解してあげる事が豊かな世の中をつくることにつながるのかなと、

彼女の本を読み、自閉症の世界に触れて感じました。

やっぱ、色んな人がいるって大切なこと、有難いことなんだなと思います。

第二巻の訳者あとがきに、NHKがドナのことを取材したことがあると書かれていたのでネットで調べてみたところ、

なんとそのときの映像を無料で借りれるそうです。(ただし送料に往復1000円掛かりますが、、、、)

http://www.manabi.pref.yamanashi.jp/db/servlet/dbview?id=A110003538



私は借りてみようかまだ思案中です。

もし借りてみたら、またここで何かしらの報告をします。



おしまい




参考:

ドナ・ウィリアムズ著作〔アマゾン〕


ドナ・ウィリアムズ公式HP
http://www.donnawilliams.net/


ドナ・ウィリアムス動画〔12本〕
http://www.youtube.com/user/1210donna


ドナ・ウィリアムスのNHKの映像
http://www.manabi.pref.yamanashi.jp/db/servlet/dbview?id=A110003538

1 件のコメント:

なんじゃもんじゃ さんのコメント...

私も、「自閉症だった私へ」「自閉症だった私へ 2 」を読みました。

目先の効率追求の姿勢だけでなく、多様性の受容の姿勢は、成熟してきた社会には、これから益々必要になる気がしましたし、世界的に、最近その動きが少しずつですが感じられます。

その前に読んだ「プルーストとイカ」も、
言語と言う底流で繋がった部分が自閉症などと同じだなと思いました。

やはりこの本を読んだときも、、多様性を積極的に受容する事により、成熟した社会の発展に繋がるのかなと感じました。

門外漢の部門の本のためか、最初は15分くらいずつと言った感じで、ゆっくりしか読み進む事が出来ませんでしたが、その内に、とても興味深く読み進む事ができるようになっていきました。

少しずつでも、継続していく事が大切なのだなと言う、全然違った面での体感・実感もすることが出来ました。

紹介して貰い有難う御座いました。

この二冊も、読んでみたいと思っています。